2013年 4月

はなまつり 2

2013/04/10

学童のみんなは、甘茶を誕生仏の尊像にかけてお祝いしたあと、甘茶をいただきました。甘茶は独特の味がするので、子どもたちはあまりの飲まないのかと思っていたら、ほとんどの子がおかわりをしています。おいしい?ときくと、甘くて苦くて甘いと答えてくれました。おもしろい表現です。最初口に含んだときには、甘さが口いっぱいに広がるのですが、飲み込むときにはなんとなく苦いような味になります。そして、飲み込んでしまうと後味に甘さが残る。そんな感じを「あまくて、にがくて、あまい」と表していたのだと思います。それにしても、おかわりまでしてたくさん飲んだものだと思います。

甘茶はとても大きなやかんにいっぱい入っていたので、低学年の子にとっては湯飲みにつぐのに一苦労です。湯飲みの位置を調節する姿もありましたが、2人で力を合わせる姿も見られました。大人がああだこうだ言わなくても子どもたちは自分で工夫するのです。

甘茶でお祝いしていたら、お昼前になってしまいました。少し自由な時間を過ごして、おべんとうです。

午後は、外で遊ぶと釈尊物語のビデオの続きを見るのどちらかを選ぶことができました。お天気も良かったし、午前中は室内で過ごす時間が長かったので、ほとんどの子が外で遊ぶことを選びましたが、2人だけがビデオを見ることを選んだそうです。

外で遊ぶ子どもたちにと一緒に過ごしていた職員が、部屋に戻って、ビデオを見ていた子に「どうだった?」と聞いたら「死んでしまわはってん・・・」とぽつんと言った子がいたそうです。お釈迦様が涅槃にお入りになるのを知ったその子が、どんな気持ちでそう言ったのかはわかりませんが、ちょっと気になりました。

はなまつり 1

2013/04/09

灌仏会はお釈迦様がお生まれになったことを祝う行事です。たくさんの花で飾った花御堂の中に灌仏盆を置いて甘茶を入れ、その中に安置したお釈迦様の像に甘茶をかけてお祝いします。お子お釈迦様の像は誕生打つと言われ、右手で天を左手で地を指すお姿をされています。これはお釈迦様がお生まれになった時に、右手で天,左手で地を指さして「天上天下唯我独尊」(自分自身が世の中ので最も尊い)とおっしゃったという伝説に基づいています。

灌仏会ははなまつりともいいます。4月8日には、乳児クラスは園で、幼児クラスはお寺の本殿まで行ってお祝いしました。ちょうど新入園児さん達の初登園の日だったので、一緒にお祝いすることができました。新入園児さんにとってはそれどころではなかったかもしれませんが・・・

それに先立つ4月5日は春休み最後の学童保育の日でした。せっかくなら、学童保育に来ている小学生たちにも、お釈迦様のお誕生をお祝いしてもらおうということになりました。それなら甘茶をかけるだけでなく、子どもたちがお釈迦様について知る機会にしたいという思いから小学生がわかりやすく、しかもある程度内容のある本がないかと探したらお寺に『釈尊物語』というビデオがありました。今ではあまり見なくなったVHSビデオ2巻セットです。2巻で80分ほどのなかに、お釈迦様のお誕生からお悟りそして涅槃までがまとめてあります。ちょうど2巻に分かれているので、1巻目をみんなで見てから、誕生仏に甘茶をかけてお祝いすることにしました。子どもたちは、きれいに1列に並んで、1人ずつ誕生仏の前まできたら、慎重に甘茶をかけ、丁寧に合掌礼拝していました。1人が終わると誰からともなく拍手が起こりました。その場はとても暖かくやわらかなしかし自然と背筋が伸びるような雰囲気に包まれていました、子どもたちの心もスッとまっすぐになっているかのようでした。

使命

2013/04/08

4月6日には入園式を行い新入園児さん達が元気に入園してきました。入園式はあいにくの雨、天気予報は台風並みに発達した低気圧が通過するため、春の嵐になるという予報でしたが午前中はそれほどひどくならずに入園式も無事に終わりました。

ところが午後に食育会議をしていたら、聞いたこともないような風音が鳴り続き、大きな木がゆさゆさ揺れて、あらゆる葉っぱが宙を舞います。たびたび話しを中断して外の様子をうかがうほどでした。

それほど強い風雨でしたが、お陰様でいたるところ杉の葉っぱだらけになったくらいで大きな被害もなく無事に過ごすことができました。ありがたいことです。

今日、保育園のまわりのさくらがようやく八分咲きくらいになりました。お寺の本殿前は、ほぼ満開です。あれだけ激し風雨だったので、咲き始めのさくらもほとんど散ってしまったのではないかと心配しました。嵐の翌朝さくらを見てみると、雨風に打たれ、少しくたびれた姿にはなっていましたが、ほとんどの花が元気に咲いています。あれだけの風雨に耐えたのだと思うと、そのけなげさがとても凛々しく、愛おしささえ感じられました。

さくらの花というとはらはらと舞い落ちる可憐なイメージを持っていましたが、あれほどの風雨に耐える強さも持ち合わせていることがわかりました。

咲き始めの花は強いのでしょう。花には花の役割があって、その役割を全うするまでは、何があっても耐え抜くのかもしれません。

美しく、そして強い。そんなさくらの花を見ていたら、「おまえは全力で自分の使命を果たそうと努力しているか」と問いかけられているように感じました。

味噌作り 4

2013/04/07

楽しく歌いながらつぶした大豆と麹を混ぜていると、手がすべすべになってきました。豆と麹に手が磨かれたのかもしれません。人の皮膚には様々な微生物が住んでいて、細菌叢を形成しています。手で混ぜるということは、自分の手に住んでいる微生物も麹と一緒に味噌作りを手伝うということです。

汚いとか言わないでくださいね。うちのおばあちゃんの漬け物は天下一品という漬け物名人のおばあちゃんっていませんか。こういう漬け物名人の人は漬け物に適した細菌叢を持っているとも言われています。いろいろな微生物が複雑に役割を果たし合うことで、漬け物も味噌もおいしくできるのだそうです。変に人間が干渉しすぎず、人間は人間の役割だけを果たし、微生物が楽しく働き合える環境を整えるだけで、あとは微生物を信じて「お願い!」と任せれば、自然に様々な微生物がそれぞれの役割を果たし、おいしい漬け物や味噌を作ってくれるのです。

ただし、大切なのは微生物が働くための環境です。その環境(場)が楽しい環境だと微生物たちがうまくバランスをとりあい、必要なときに必要な微生物が自分の役割を果たすようになるという話しを聞いたことがあります。

あれ?どこかで聞いたような内容です。子どもが自ら育つ力を丸ごと信じ切り、大人はこどもたちが自分を発揮していきいきと活動できる環境を整えて、あとは見守る。そして、子どもたちの育つ「場」である保育園はいつも楽しいところでなくてはならない。

当園の理念です。味噌作りと当園の理念とがこんなところで繋がっているとは・・・

ちょっと強引すぎますか?

味噌作り 3

2013/04/06

豆と麹を混ぜたものを丸めてかめに詰めてゆきます

♪おいしくなあれ♪といい加減なメロディーをつけた歌にならない歌を歌いながら、豆と麹を混ぜているとなんだかとても楽しくなってきました。作っている方が楽しいと豆や麹も喜んでおいしく発酵してくれるかもしれませんし、反対に怒りながら作ると腐ってしまうかもしれません。お料理だってそうだと思います。食べてくれる誰かが「どうしたら喜んでくれるかな?」と心を運び、食べてくれる人の笑顔を思い、それを楽しみながらお料理するからこそおいしい食事ができるのです。イライラしたりぷんぷん怒りながら作る料理なんておいしいはずがありません。

何をするにしてもそうなのではないでしょうか。

表面に薄く塩をふって完成

楽しく取り組むからこそいろいろなことが良くなってくるのです。もちろん、辛いことだって苦しいことだってやってきます。それを辛く苦しいことで終わらせず、楽しいことに変えられると良いのですが、それには心の力が必要です。「辛い」「苦しい」に飲み込まれて流されることなくいたいものです。

しっかりと混ぜたら、お団子のように丸めます。そのお団子を一つずつかめの中に入れて空気が入らないように詰めてゆきます。レシピによっては、空気が入らないように投げ入れると書いてあるものもあります。全部詰め終わったら、かめの3分の2くらいの所まで入りました。良い感じでしょうか。最後の仕上げはレシピによってさまざまです。和紙を敷いて木の蓋をしてそのうえから重しをのせるというのもありましたが、私は、表面に薄く塩をふって、その上から重し代わりに、ポリ袋に入れた塩を置いてみました。最後に「おいしくなってね」と声をかけてから、かめにふたをして冷暗所に保存です。敷かし気になってしょうがないので、時々のぞいては「げんきかー?」「おいしくなってね!」といいながらかめのふたをあけてみていますが、いまのところほとんど変化はありません。できあがるまでには半年から1年かかるのですから、目の前のことにとらわれることなく、じっくりと時間をかけて見守り続けてゆきます。

味噌作り 2

2013/04/05

        麹

味噌を作るのは結構時間がかかります。大豆がやわらかく炊きあがったら、水を切ってつぶします。最初は1キログラム、寸胴の底に少しあったのが、炊きあがったときには3倍くらいの量になっていました。これをつぶすのは大変です。手でつぶすのが良いのでしょうけれど、マッシャーを使いました。大豆が潰れたら麹を加えます。このとき大豆の温度が高すぎると麹が死んでしまうので、60度くらいまで冷めている必要があるのですが、つぶすのに時間がかかったので最終的には40度くらいになっていました。

そこにあらかじめ450グラムの塩とよく混ぜておいた麹1キログラム

      つぶした大豆

を入れてしっかりと混ぜます。混ぜるのにそれほど力はいりませんが、良く混ぜ合わせようとすると時間がかかります。黙って混ぜているのもつまらないと考えていると、「おいしくなあれ!」ということばが口をついて出てきました。「おいしくなあれ」と言いながらリズム良く混ぜていると、「おいしくなあれ」がいつのまにか歌になってきます。

そういえば、伝統的な仕事の中には歌を歌いながら行うものがたくさんあります。田植え、酒造り、茶摘みなどの仕事とともに歌い継がれてきました。

つぶした大豆と塩切りした麹を混ぜ合わせました

そうした仕事歌には、労働の辛さを軽減する、共同作業の息を合わせるなどいろいろな役割がありますが、息を合わせることは、仕事をする人の心をひとつにして場の雰囲気を楽しいものにするということです。楽しい場からは良い仕事が生まれてくるはずです。みんなの息を合わせて、楽しい職場にするために、みんなで歌を歌うのも良いかもしれません。

味噌作り

2013/04/04

水に浸した大豆 水を吸って大きくなりました

甘酒や塩麹に飽き足らず、寒のうちにお味噌造りに挑戦してみようと思いました。寒いうちに仕込んだ方がゆっくり発酵して良いらしいので、早くしようと思いつつなかなかできずにいたのですが、忙しいばかり言っていてはいつまでたってもできないので、思い切ってやってみることにしました。忙しい時って、敢えて違うことをしてみたり、生活をしっかりとすることで、忙しさに飲み込まれずにすむことがあります。

まず、大豆を用意します。本当は園の畑で育てた大豆が使えると良かったのですが、枝豆のあいだに食べ過ぎて、残った大豆が少なかったので、無農薬で育てた大豆をさがして買ってきました。                       麹は前にも書いた酒蔵が稻麹から作っている麹を使いました。

やわらかかくなるまで ゆっくりと煮ます

調べるといろいろなレシピがあってどれを参考にすると良いのか迷ってしまいます。

最初に大豆を良く洗います。まん丸でころころした大豆です。しっかりと洗ったら、水に浸してやわらかくします。水につける時間は一晩くらいとするレシピもあれば、16時間はつけるとするものもあります。私は時間の都合も合ったので15時間ぐらいにしました。12時間も浸しておけば、ある程度やわらかくなりますが、芯までしっかり水が染みこんだ方が良いのかと思って少し長くしました。

しっかりと水を吸った大豆をゆっくりと煮てゆきます。弱火で4時間くらい煮ました。大豆を片手の親指と小指ではさんでつぶせるくらいの硬さになるのを目安に煮ると良いそうです。大豆を煮ていると、豆の甘い香りが部屋中に広がって幸せな気持ちになりました。やわらかくなった大豆を口に含んでみるとその甘いこと。そのまま豆だけで食べたくなりました。

2013/04/03

甘酒ができると、いろいろなことに使えます。お湯で少し薄めて飲むこともできますが、私は豆乳とまぜて飲むのがおいしいと思います。カップをあらかじめ温めて置いたカップに甘酒を入れ、温めた豆乳を注ぐだけでできあがりです。豆乳のこくと甘酒の甘さがうまく調和してとてもおいしいのです。毎日と言って良いほど飲んでいたら、甘酒がすぐになくなってしまいます。あまりにもすぐになくなるので、倍の量を作ってやろうとして挑戦したら、いつもと違う感じになっているので、うまくできるのか今から不安です。他の使い方としてはお料理の隠し味として使うことができます。少し甘酒を加えるだけでこくが出るというのか、味が深くなります。他には様々な調味料と混ぜて、調味料の新しい味を楽しむこともできrなど、工夫次第で様々に使えます。

甘みが必要なときは、できるだけ甘酒を使うようにして砂糖を減らしたら、身体がスッキリしたように感じます。甘酒というと、ちょっとイメージが異なるかもしれないので、「甘麹」と呼んだ方が良いかもしれません。

甘麹といえば塩麹です。塩麹も何度か作ってみています。こちらの作り方は甘麹よりもずっと簡単です。塩と麹を混ぜて水を入れるだけです。常温で何日かおいたあと冷蔵庫でゆっくりと熟成させます。2カ月ほどしたらできあがるのですが、一度作ると2カ月も待てずに使ってしまうので、できあがる頃にはとても少なくなっているのです。塩麹はとてもポピュラーになったので、使い方は皆さんいろいろ工夫されていると思います。

小さな小さな生き物のおかげで、不思議でおいしい世界を楽しませてもらっています。

あまざけ

2013/04/02

このところ、麹が気になっています。名前が同じなので親近感が湧くからではありません。知り合いから手作りの甘酒をいただき、その優しい甘さに感動したのが、きっかけです。とても甘いのに、砂糖は全く入っていないと聞いて驚きました。

甘酒は米麹がお米のデンプンを分解し糖化することで甘くなります。ブドウ糖のほかビタミン類やアミノ酸、食物繊維などが含まれ、栄養価が高く、栄養剤としての点滴と成分が似ていることから「飲む点滴」とも言われるそうです。現在は冬に暖かくして飲むイメージが強いのですが、江戸時代には夏バテ防止、暑気払いとして飲まれることが多く、甘酒は俳句では夏の季語にもなっています。江戸幕府は庶民の健康を守るため、誰でも飲めるように甘酒の価格制限をしていたそうです。

知り合いからいただいた甘酒があまりにもおいしかったので、自分でも作ってみることにしました。作り方はそれほど難しくありません。もち米でお粥を作り、そこに米麹を加えて、50度から60度の温度に保って8時間から12時間ほど発酵させるとできあがります。長時間保温するためには炊飯器の保温機能を使うと便利です。

うるち米でもできますが、もち米の方が甘みが増すと聞いて餅米を使っています。麹は酒蔵が無農薬、自然農法で育てたお米につく稲麹から麹菌を培養して作っている麹を使っています。白米の麹で作る甘酒もおいしいのですが、この酒蔵では独自の手法で発芽玄米に麹菌を植え付けたものを作っています。これを使って甘酒を造ると時間はかかりますが、玄米の香ばしさと深い甘さが特徴的な甘酒に仕上がります。

できあがった甘酒は、火を入れて発酵を止めるのですが、私は頑張って働いてくれた麹くんに熱い思いをさせるのは忍びないと思い、そのまま冷蔵庫で保存しています。できあがった甘酒はおいしいので、すぐに食べてしまうのですが、冷蔵庫に保存する時間が長くなると、玄米が更にやわらかくなって甘みが増すように思います。この甘酒がいろいろなことに使えるのです。

新しいはじまり

2013/04/01

新しい年度がはじまり、子どもたちはとても嬉しそうに登園してきました。ひとつずつ大きくなって、クラスがかわることがうれしくてしょうがない様子です。本当に大きくなったように見えるのが不思議です。喜びと自信に満ちあふれているからでしょうか。朝、出勤途中に登園してくる子どもと園の近くで一緒になりました。「わたしきょうから○○ぐみやで!」誇らしげに伝えてくれる笑顔が、微笑ましさを越えて心に染みこんできます。

しかし、中には少し緊張した面持ちの子もいます。子どもは環境の変化に敏感です。とっても不安になってしまう子がいるのも事実です。そんな子には、そっと寄り添ってあげる必要があります。

この時期は、とっても嬉しくてテンションの高い子もいれば、ちょっと不安な子もいるので、落ち着かない雰囲気になることがあります。そんな子どもたちの様子を配慮して、先生達は落ち着ける雰囲気を作るよう工夫していました。

いつも思うことがあります。普段の保育ではあまりクラスの枠にとらわれずに活動していますが、このときはクラスを意識します。例えば、年長になったらあれができる、これがしたいという子どもたちの憧れや期待があるのです。それが意欲に繋がってゆきます。

家で「○○ぐみになったら一人で寝る」と自分で決めていた子もいたようです。年度の変わりクラスがかわることが、子どもたちの前向きな気持ちに繋がるのなら、嬉しいことです。

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