2015年 10月

楽器ゾーン 2

2015/10/31

今年の楽器ゾーンは、吸音材を配置して昨年より少し進化しました。保育環境には、物的環境と人的環境ということがよく言われますが、空間的環境もとても重要な要素です。空間も物的環境とも考えられるかもしれませんが。

子どもたちの活動は大きく「遊ぶ」「食べる」「寝る」の場面に分けることができます。また、楽器ゾーンができたように、遊びのゾーンも、子どもたちに合わせて様々に構成します。それも空間ですが、そういった保育の機能を果たす場としての保育室の「つくり」も重要な空間的環境です。壁や床の色と材質、家具の色や形、照明の色、明るさ、音の響き方、聞こえ方など様々な要素が、そこにいる人たちの五感をどう刺激するのかをよくよく考える必要があります。

今、保育室の音環境がとても気になっています。どうも音が響きすぎる気がするので、何とか対策を立てようと考えているところです。保育室の音環境というのは意外に見過ごされがちですが、とても重要な要素だと思いますし、保育室の音環境に関する研究も進んできているようです。

今年の楽器ゾーンを作るにあたって吸音のために考えた、たまごの緩衝材も一つのアイデアです。少し前に行ったライブハウスにもたまごの緩衝材に似たものが天井の一部に貼り付けてありました。

いろいろなことを参考にして、子どもたちにとってより良い環境を構成してゆきたいものです。

楽器ゾーン 1

2015/10/30

先日、2階の幼児室の近くに楽器ゾーンがオープンしました。以前はオープンスペースの絵本コーナーだったところに簡単な間仕切りが作られました。角材で柱と梁を組み立ててベニヤ板を張った簡易な物なので、必要がなくなればすぐに撤去できます。こういった作業が得意な男性保育士の先生がいてくれるので、とても助かります。彼は1人で1時間もかからずに作ってしまいました。

楽器ゾーンなので、他の部屋に響く音を例え少しでも少なくしようというねらいで、間仕切りが作られたのです。それでも楽器の音は良く響きます。ですから、少しでも音の反響を軽減できたらと、今年はたまごの運搬に使う緩衝材を使って、吸音装置を作ってくれました。プラスティックでできたたまごパックではなく、段ボールの箱にたまごを入れるときに使う、紙のような素材でできた、でこぼこしたものです。それを壁の上の方につり下げる形で、設置しました。

たまごの緩衝材3枚、紐でつないだものを壁につり下げるという方法で施工しました。3枚の繋げ方にも工夫が凝らしてあります。緩衝材を、表-裏-表とつなぐと、片付けるときに屏風のように折りたたむことができ、コンパクトに片付けられるというのです。それだけではなく、裏-表-裏とつないだ物も作って、交互につり下げると、市松模様のようになっておもしろいかもしれない。と見た目も考えて作ったようです。良くそこまで考えるものだと、感心しました。

吸音や半経を防止する効果の程は、はっきりとはわかりませんが、先生は、音圧計を持ってきて、施工前と施工後で太鼓をたたいたときの音がどう違うのか、残響の長さはどうなのか、と測っていたのにも感心しました。施工後、劇的に数値が変化したわけではなかったようですが、私は、音の反響が少し少なくなった、音の響きがやわらかく感じられうようになったと思いました。

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三七草

2015/10/29

チカラシバの生えているすぐ近くに、黄色い花をたくさんつけた草があります。背の高さは1mくらい、ずいぶん長いあいだ花をつけています。この植物も気になっていて、名前を調べようといろいろと試みてみましたが、どうもよくわかりません。ヒャクニチソウにも似ていますが、ちがうようです。今回はお寺の職員さんにたずねたら、「それは三七草というんです」と教えてくださいました。

中国南部原産の多年草。葉は不揃いなのこぎりの歯のような形で羽状に3~7くらいに分かれているので三七草と呼ばれるのだそうです。9月から10月に花が咲きます。
江戸時代の初めに薬草として輸入され、葉は虫刺されや止血に、根は吐血や強壮薬として用いられたといわれています。

どうやら日光を浴びると、ちょっと嫌な臭いを発するそうだということも教えてくださいました。身近にいろいろな草花が生きているにもかかわらず、意識をしないと見過ごしてしまっています。身近に生きている様々ないのちに心を運び、Sense of Wonderを持って見ると、楽しいことがいっぱいです。

子どもたちは、楽しいことや不思議を見つける天才です。子どもたちと一緒にいろいろなことに興味を持ち、不思議がる事を楽しみたいと思います。

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チカラシバ

2015/10/28

園の近くでもいろんな草木があります。園の前の道端に大きなネコジャラシのような草が生えていました。ボトルを洗うときに使うブラシに似た大きな穂が特徴的なので、いつも見ていました。9月の終わりくらいでしょうか、急に気温が下がった朝のことです。その穂のブラシのように密集した毛に細かな水玉がたくさんくっついていました。

何だかとても美しく感じたので、思わずスマホを取り出して写真を撮ってしまいました。しかし、なかなか目で見たようなキラキラした感じを写し取ることはできません。人間の目ってうまくできていると思います。物理的な視覚情報だけではなく、それを補う様々な情報が、より美しく見せるのかもしれません。もちろん目の機能に限ってもすごいと思います。あんなにいろいろなものが見えるのですから。

普段何気なく見ている草でも、水玉がくっつく、というちょっとした変化で全く違う姿を見せてくれます。それも朝の限られた時間だけです。その時間を逃すとその美しさを見る事はできません。その時々の美しさを見逃さないよう、心を運んでいたいと思います。

いわゆる雑草と呼ばれる草なのでしょうけれど、どこかその存在が気になって、何という名前なのか知りたくなってしまいました。そこで、動植物に詳しいお寺の職員さんにたずねてみたら、「イネ科の野草」とかで調べるとわかるのではないですか。とアドバイスをいただきました。そこで、植物図鑑やインターネットで調べてみると、「チカラシバ」という名前だということがわかりました。根がしっかりとはっていて、茎も固く、引きちぎるのに力がいることから、その名がついたとも言われているそうです。
人から名前を教えてもらうのは簡単ですが、少し手間をかけて自分で調べると、忘れにくいものです。子どもたちが不思議に思ったときに、自分で調べられる環境を用意してあげると良いですね。

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おまつり 3

2015/10/27

鉾と共に移動してきた松明は、次々と山門下の石段に立てられてゆきます。石段から鞍馬街道の一体はまさに火の海です。松明を立てると言うことは、下で支える男たちの頭上から火の粉が降ってくると言うことです。真っ赤に燃えた火の粉が、容赦なく半裸ともいえる男たちの、頭と言わず肩と言わず背中と言わず、降り注ぎます。首から肩は火傷だらけになるようです。

そうやってしばらく立てられ、役目を終えた松明は、順に松明置き場に集められ、そこで燃え上がります。消防団の方々が水をかけてくださるから何とかなりますが、それでも大きな炎が上がります。こうして、火祭は一つのクライマックスを迎えます。

山門前の石段下に立ち並んだ松明がなくなる頃、注連縄が切られ、御神輿の前で本田楽という子どもの田楽が奉納され、祝詞が上げられると、御神輿の渡御が始まります。神輿は動き出す前に左右に激しく揺すられます。そうして、二基の御神輿が一基ずつ山門前から鞍馬街道まで担いで下ろされますが、途中で選ばれた青年が御神輿の前の担い棒にぶら下がり、足を逆さ大の字形に広げる「チョッペンの儀」というのが行われます。御神輿の前の担い棒にぶら下がるのですから、かなり度胸のいることで、鞍馬の成人式の名残だとも言われています。

御神輿の渡御に当たっては、綱方といって御神輿の後ろの担い棒に長い綱がつけられています。由岐神社からの急な坂道を御神輿を担いで下ろしていた頃は、大勢でこの綱を引くことによって、ブレーキの役割を果たしたのです。この綱方は若い女性です。綱方をすると安産の御利益があるともいわれています。また、火祭では鉦と太鼓が重要な役割を果たしますが、これも女性の役割です。
昔から男と女が役割を分担し、生活してきたことの表れなのかもしれません。

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おまつり 2

2015/10/26

火まつり当日、鞍馬街道はたくさんの観覧者であふれます。火祭りの行われる10月22日の日中には、時代祭が京都市街で行われます。時代祭が終わる午後には、鞍馬を目指す人が増えはじめます。京都市街と鞍馬を結ぶ叡山電車もとても混雑し、乗車制限が行われた年もあったそうです。鞍馬街道は午後3時を過ぎると自動車の通行ができなくなります。

実は10月22日の前に火祭は始まっています。10月16日には「宵宮祭」といって、火祭りの無事を願う神事が行われるのです。この日から各家の軒先には「御神灯」と書かれた提灯がかけられます。

午後6時に、これから祭が始まるという合図に「神事にまいらっしゃーれ」と呼びかけて回る「神事触れ」という儀式が行われます。これを合図に各戸のかがり火に火が入り、小さな子どもたちの松明から順に鞍馬街道を練り歩き始めます。続いて松明がだんだんと大きくなり、「サイレヤサイリョ」のかけ声と共に大松明が、練り歩きます。上(かみ)、中(なか)、下(しも)の各地区から鉾が出て、山門前の鞍馬街道に集まってきます。

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おまつり 1

2015/10/25

10月といえば、鞍馬ではなにを置いても「火祭」でしょう。以前にも書いたことがありますが、鞍馬の皆様の火祭に対する思い入れ、情熱は計り知れないものがあります。

松明を作るのだって、材料の入手からして大変なのです。松明には柴と呼ばれるツツジの枝がたくさん使われますが、5月頃に山に入って刈り取り、そのまま乾燥させて夏の終わりに枯れた葉などを取り除いてきれいにしたものを、9月に入ってから由岐神社の御旅所に運んで、松明を作るのに必要な量を各家に分けます。長さ、約4m、重さ100㎏ほどの大松明と呼ばれる松明も、中身はほとんどこの柴でできているといってもよいくらいなので、一本の松明を作るのにはこの柴がたくさん必要なのです。こういった材料の確保もなかなか容易ではないと聞きます。

柴を束ね、松明の芯になる丸太を通し、木端と呼ばれる薄くはいだ木材を沿わせて、最後に藤の蔓で縛って作るそうです。この藤の蔓も、藤の蔓なら何でも良いというわけではなく、地中にある蔓でないと使えないのだそうです。それを見つけるのは難しいらしく、鞍馬の皆さんはいつも藤の蔓のことを気にかけていらっしゃいます。一本の松明ができるまでに、多くの方の努力と、時間が費やされているのです。大松明は大人が2人から3人で担ぎます。その他には、中松明という中高生くらいが担ぐ60㎏くらいのもの、生姜雨声が担ぐ30㎏ぐらいの小松明、「トックリ」と呼ばれる幼児用の松明があります。
松明一つ作るにもこれだけ手間暇がかかるのです。他のことは推して知るべしです。鞍馬の人々がどれだけ火祭を大切にしていらっしゃるのかを感じられます。

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草木染め教室 7

2015/10/24

草木染め教室で子どもたちが作った作品、銘々に作ったものは、それぞれの個性が出ていたようですし、共同作品はダイナミックに、繊細に、いろいろな要素が入り交じり、なおかつチームワークが発揮されて、グループ毎にタッチの違うものができ上がりました。完成した作品は、そのまま立てかけて水を切り、乾かします。

乾いてくると、全体が白っぽくなってきます。特に、草花の上から流した、原材料が分厚ければ不暑いほど、白くなってしまって、中に入れた草花が見えにくくなってきてしまいます。材料を流しかけたときには、あまり薄過ぎると、草花がはがれてしまうのではないかと不安になって、ついつい厚めにのせてしまいます。

水に溶いた原材料を流しかけるときには、透明な部分は水だけだと思ってしまいがちですが、実はしっかりと紙の繊維が入っているようです。ですから、わざわざ繊維のかたまりで草花を覆わなくても、薄い繊維の層が草花を覆ってくれるのです。それなのに、目に見える形で、覆いたくなるのですね。

目に見えなくても、十分に役割を果たしていることがあります。目に見えなくても、なくてはならないものもあります。目に見えることばかりではなく見えないことやものの役割を信じる事が大切なのかもしれません。いや、目に見えることより、見えないことの方がずっと多いように思いますし、大切なこともたくさんあると思います。目に見えないこと似も思いを馳せ、大切にしてゆきたいと思います。

草木染め教室、毎年ステキな企画をして、子どもたちに学びの機会や楽しみを用意してくださる、多くの方々に感謝です。

草木染め教室 6

2015/10/23

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それぞれが思い思いの作品を仕上げたら、次はみんなで力を合わせて、畳1枚ほどの大きな共同作品を作ります。子どもたちが2グループに分かれ、高学年を中心にどんな作品にするのかを話し合って決めていました。

一つのグループは、白いベースの上に、赤、青、黄色の水玉のような模様をつけようと考え、少しずつ色の付いた、紙の材料を置いてゆきますが、水に溶かした材料を柄杓ですくって流すという方法なので、どうしても材料が水分と20151023_草木染め教室6_4一緒に流れて広がってしまいます。子どもたちなりにゆっくり流すなどの努力をしていましたが、なかなか難しいようです。20151023_草木染め教室6_5先生が紙コップを切って作った枠を置いて、その中に原材料を流し込むと、広がることなく丸い模様を作れることを教えてくださいました。20151023_草木染め教室6_6

そうやって模様を作ってから、草花を置いて最後にもう一度、白い20151023_草木染め教室6_7材料を流して、置いた草花を固定します。どの子もとても真剣に取り組んでいました。

もう一方のグループは、赤、青、黄色の原材料をふんだんに使用した、とてもカラフルな作品を作っていました。

子どもたちは、意見交換し、相談しながら作品作りを進めていました。20151023_草木染め教室6_8高学年の子どもが中心にはなっていましたが、高学年が指示してやらせるのではなく、大まかな方針を相談してみんなに伝え、みんなはそれを理解して、それぞれに楽しく作っていると感じました。子どもたちがチームになって、それぞれ主体的に作品作りに取り組む姿はとてもステキだなと思いました。

草木染め教室 5

2015/10/22

子どもたちの紙漉体験、草花を置いて、上から紙の原材料をもう一度流せば、作業終了です。あとは乾かすだけ!からっとした秋の日の暑いくらいの日の光に照らされて、子どもたちの作品はどんどん乾いてゆきます。色とりどり、それぞれの作品になるまでもう少し乾燥させる必要があります。
乾ききったらどんなに仕上がるのだろう?そう思うと、ちょっとドキドキします。

乾燥させるために、列べてある子どもたちの作品を見ていると、ほんとうに様々で、子どもたち一人ひとりの個性が感じられます。

一人ひとり違うこと!そのことこそが大切なのに、どうして自分と違うことを否定したり、排除したりしたくなるのでしょう?異質を排除することで安定を得られるということがあるのでしょうか?異質を排除する、否定するということを突き詰めてゆくと、結局、独りぼっちになってしまうのではないでしょうか。一人ひとりは絶対に異なり、同じではないのですから、同じじゃないことを理由に排除していったら、独りぼっちどころではない、自分自身をも否定してしまうことにつながりはしないでしょうか。自分自身だって変化し続けているのですから。
人類は社会を作ることで、生き延びるという生存戦略をとってきたと言われています。みんなが、それぞれの違いを認め合い、お互いを活かし合い、それぞれに役割を果たすことで社会が成り立つのです。
一人ひとりが尊重され、違うことが活かされるといいな。
それぞれに異なり、個性豊かな子どもたちの作品を見ていたら、そんなことを思いました。

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