2012年 1月

手紙

2012/01/31

最近は手紙を書くことが少なくなりました。便利で早いのでついついメールで済ませてしまいがちです。特に手書きの手紙は書く機会が少なくなってしまいました。まして毛筆で書くことはほとんどありません。今日、保育園に毛筆で書いた大きな手紙が届きました。

保育園の玄関に郵便受けがあり、いつもたくさんの郵便物が来ます。最近はいろいろな業者さんが手紙を届けてくださるので、1日に何回も郵便受けに手紙が入っていることがあります。子どもたちが散歩に出かけて帰ってくると、園庭の門から中に入る前に必ず郵便受けを見て、手紙が届いていると私のところに持って来てくれます。

雪がちらちら降るなか、昼食を食べ終わった5歳児たちが午後の保育の担当保育士と一緒に散歩に出かけてゆきました。子どもは風の子とはよくいったものです。寒さなんかものともせず、元気に遊んでいます。おやつの時間近くになって、5歳児たちが帰ってきたのでしょう、外が賑やかです。声が近づいて来たかと思ったら、何人かが部屋に駆け込んできました。「来た!来た!手紙が!」「鬼から手紙が来た!」といいながら、手には黒い紙の筒を握りしめています。
どうしたのと聞いてみると、散歩から帰ってきていつものように郵便受けを見ると、黒い巻物が入っていた。これは絶対鬼からの手紙だと騒いでいたのです。冷静なWちゃんは、「まだ、中も見てないのに、鬼からの手紙かどうかわからへんやん!」しかし、興奮気味の男の子たちは「絶対鬼からの手紙やて!だって去年もこんなんやったもん!」といっています。

そうなんです。去年も節分前のこの時期に、鬼から手紙が来て、近々保育園に行くと書いてあったのです。早く中を見てみたい5歳児たちですが、3歳児4歳児の子どもたちも一緒に見られるように、おやつを食べ終わってからみんなで開いてみることにしたようです。

おやつが終わっていよいよ手紙を開く時間です。私も子どもがどんな反応をするのか興味があったので見に行きました。子どもたちの後ろでおとなしく見ていようと思ったら「保育園に来た手紙は園長先生に読んでもらわないと」と担任に言われ、私が手紙を読むことになりました。

おもむろに黒い巻物を開くと、毛筆でなにやら書いてあります。子どもたちに見せると「わー!やっぱり鬼からの手紙や!」「なんて書いてあんの、はよ読んで!」と催促されます。手紙には、「わしは鞍馬山の奥に住む鬼だ。」とあります。やはりおにからのてがみでした。内容は、お父さんやお母さんの言うことを聞かない子、好き嫌いをする子、夜更かしをする子、友達に意地悪をする子はいないか、探しに行くというものでした。

それを聞くだけで怖くなって泣き出してしまう子、全く怖がらない子、いろいろですが、節分当日が、怖くもあり楽しみでもあります。鬼は本当にやって来るのでしょうか・・・

節分にちなんだ子どもたちの作品

鬼からの手紙の内容に耳を傾ける子どもたち

落語

2012/01/30

久しぶりに落語を鑑賞しました。特に落語のファンというわけでもなく、町の寄席に行ったわけでもありません。洛北に玄武の会という会があり、その会が主催して鞍馬で「第5回 玄武寄席」が行われたので、鑑賞しました。玄武の会とは「さまざまな事業を展開する活動を通じ自然のこころにふれる人の輪を広げ望ましい人間環境醸成への役立ちを希求する。」ことを目的に、「京の洛北<玄武の地>の現在(魅力・大切さ・役割)を再認識し、それを広く内外に伝えて行く。」という活動を行っていらっしゃる団体です。

出演は、笑福亭枝鶴さん・笑福亭瓶吾さん・林家卯三郎さんの3人の噺家さんでした。ちなみに笑福亭枝鶴さんは一昨年の10月に六代目笑福亭枝鶴を襲名されました。

あたり前ですが、おもしろいです。マクラに、自己紹介、会場に来るまでのことなど身近な話しや季節の話題などを入れながら観客を引き込み、いつの間にか本編に振ってゆきます。前にも一度鑑賞したことがあったのですが、目の前で演じていらっしゃるのを見るのは、テレビとは違って、迫力があります。
林家瓶吾さんの「風邪うどん」では、うどんを食べる表現がとてもおもしろく感じました。少し大げさな仕草と、うどんを食べる音に加えて、顔の表情が絶妙でした。

落語はほとんどが、ことばと仕草による表現です。状況などを説明することばと、登場人物の会話で成り立っていますが、ストーリーがテンポ良くすすむなか、登場人物が何人もいても、声色、ことばづかい、話し方などを工夫して表現してあり、聞いている方は違和感がありません。ずいぶん工夫が必要なのだと思います。枝鶴さんの演じていらっしゃった「三十石」には、旅人、船宿の客引きや番頭、船頭、おばあさんなど、たくさんの登場人物を表現していらっしゃいました。

また、仕草は表情や視線、扇子と手ぬぐいという小道具を巧みに使って表現されます。先ほどのうどんを食べる仕草はよく目にします。瓶吾さんは「看板のピン」でキセルのたばこを吸う様子や、サイコロを振る様子を、枝鶴さんはやきいもを食べる様子を手ぬぐいを焼き芋に見立てて表現していらっしゃいました。少し大げさなところもあって、実際はそんな動きはしないだろうと思われるような動きを敢えてすることによって、臨場感が高まるのは不思議です。
ことばや仕草などによって観客の想像力を巧みにかき立て、見えないものを見せるのはすばらしい芸術だと思います。
「三十石」では、見台と拍子木が噺家の前に置いてい合ったり、舟歌を歌ったり、お囃子が入ったりしていましたが、これは始めて見ました。

実際に目の前で演じていらっしゃるのを見ていると、全身全霊で演じていらっしゃる気迫というか意気がすごく伝わってきました。

サプライズ 2

2012/01/29

このブログを読んでいただいた方から、『みんなを守るいのちの授業 大つなみと釜石の子どもたち』(NHK出版)という書籍を頂戴し、釜石市の子どもたちが大津波から避難した様子を詳しく知ることができました。

以前のブログ「防災教育」では、新聞記事をもとに鵜住居小学校、釜石東中学校のことを中心に書かせていただきましたが、頂戴した書籍には釜石小学校の子どもたちからの聞き取り調査の結果がまとめてあります。

鵜住居小学校の子どもたちは学校にいたので、先生の指示もあってみんなで避難しました。ところが、釜石小学校はすでに授業が終わって、子どもたちは家に帰っていたのです。1人で家にいた子、友達と遊んでいた子、家族と家にいた子それぞれです。そんなときに地震が起こりました。まさに自分で判断、行動しなくてはならない状況です。揺れがおさまって、1人で避難所まで避難して助かった子、ともだちと遊んでいて、みんなで避難場所を考えて、避難した子どもたち。

実際に経験したことのない大きな地震にあいながらも、そこで冷静に自ら考え判断して行動したというのは、なかなかできることではないと思います。自分だったらこの子どもたちのように行動できただろうか。そう思うと自信を持って「はい」と答えられないかもしれません。

おじちゃんおばあちゃんと一緒に家にいて地震に遭い、大丈夫だからと家の中を片付けるおじいちゃんおばあちゃんを説得して一緒に高台に避難させた子や、足の不自由な友達をおんぶして避難した子もいた事を知りました。自分が避難するだけでも大変なことなのに、家族を避難させたり、友達を助けたなんて、子どもたちの力には感動せずにはいられませんでした。

こうして、子どもたちが自分の持つ力を発揮できたのも、防災教育や避難訓練を通じて、正しい知識に基づいた判断と素早い行動を身につけていたからこそだと思います。判断の基準となるものを子どもが持っていないことには、判断しようがありません。

その後の避難所生活でも、子どもたちが率先して掃除をはじめたり、安否確認がしやすいようにと、避難所に避難している人の名簿を作ったりと「自分の命を自分で守る」を実践し「助ける人」へと成長した。ことが記されていました。

ブログを読んでいただいた方のご厚意のおかげで、この本に巡り会えたことが大変ありがたく思います。ご厚意をいただいた方に心より感謝し、改めてお礼申し上げます。

*次の書籍を参考にさせていただきました。
 『みんなを守るいのちの授業』  片田敏孝・NHK取材班 著 NHK出版

サプライズ 1

2012/01/28

先日、当園ホームページの「お問い合わせ」ページを通じて、メッセージをいただきました。メッセージをいただくことは少なく保護者か知人からだと思ったのですが、全く存じ上げない方からです。何だろうと思ってプレビューしてみると、私のブログ「防災教育」を読んでくださった方からのメッセージでした。その内容は、

『みんなを守るいのちの授業 大つなみと釜石の子どもたち』(NHK出版)という書籍に、3月11日、釜石の子どもたちがどのように津波から命を守ったのか、その当日の様子と、防災教育の内容について書かれているので、是非先生方に読んでほしい。1冊 贈りたいが、構わないか。

というものでした。申し訳ないと思いましたが、せっかくのご厚意なので感謝して頂戴することにしました。

まさかこんなメッセージをいただくとは思っていなかったので、正直言って驚きましたが、本を贈っても防災教育の重要性を伝えたいと思っていらっしゃるお気持ちに感動しました。改めてお礼申し上げます。
それと同時に、このうれしいサプライズを当園での防災教育を考えるきっかけとすべきだと感じました。
いろいろな方がブログを読んでくださっていることを実感し、気が引き締まります。

翌日、書籍が届いたので、早速読ませていただきました。小学校高学年向けに書かれているので、とても読みやすく、わかりやすく書かれています。新聞記事だけではわかりにくかったことが、実際に避難した子どもたちへの聞き取り調査などをもとにして詳しく書かれていました。

以前ブログで取り上げた鵜住居小学校の児童は授業が終わる前だったので、ほとんどの子が教室にいて、先生の避難指示もあったようです。それでも普段から避難訓練をしているので、「逃げなさい」と言われれば低学年でもどこに逃げれば良いかわかっていて自分で避難できるそうです。
避難する途中に鵜住居保育園の子どもたちに出会って、園児を抱いて逃げた子、園児の乗った手押し車を押して逃げた子もいたことを知りました。
訓練で避難場所としていたグループホームに危険を感じて逃げ、介護福祉施設までたどり着いてすぐにものすごい地鳴りと巨大な波を見た子どもたちは、列はバラバラになり泣き出す子もいるなか更に高いところへとそれぞれに逃げたそうです。逃げる途中津波に追いつかれそうになって、裏山に逃げた中学生もいた事も知りました。
背後に迫った津波からまさに間一髪必死で逃げる子どもたちの様子が、ありありと伝わってきました。

  『みんなを守るいのちの授業』  片田敏孝・NHK取材班 著 NHK出版

ボケとツッコミ

2012/01/27

当園では、3・4・5歳児が1つのランチルームで一緒に昼食をとっていますが、食事が終わるとその日の掃除当番の子どもたちが、テーブルを拭いて足を折りたたんで片付け、床に落ちたごみなどを小さな箒で掃いてから、ぞうきんがけをしています。

先日、園で昼食をとったあと、自分のデスクで事務仕事をしていると、子どもたち何人かと保育士が話をしているのが聞こえてきました。その日掃除当番だった5歳児のSくんが、パソコンで文書を作成していた保育士に何かを言っています。どうやら掃除当番の他のメンバーが、掃除をしないのでどうしようと保育士に相談しているようです。

Sくん:   「せんせー!みんな、そうじしてくれへん!!」

保育士:  「それは困ったなー! どうしたらええかなー?」

Sくん:   「せんせーが エアコンで調べたらええやん!」

Eちゃん   「なんでやねん! パソコンやろ!」

その場にいたみんなは大爆笑!思わず私も声を上げて笑ってしまいました。まさに漫才のボケとツッコミです。子どもも大人もいつもこんな会話をしているのではありません。念のため。(似たようなノリで過ごしているかもしれませんが…)
話すテンポといい、ツッコミのタイミングといい、あまりにも絶妙でおもしろかったので、しばらく笑いがとまりませんでした。

先日、東京で行われた研修に参加した当園の職員が、研修後の意見交換会で自己紹介をしたら、本人はウケをねらったわけではなく普通に話したにもかかわらず、「さすが関西人」と笑いをとったそうです。職員が順に、自分の名前と何かひとことを言って自己紹介をしていたのに、最後の職員だけが自分の名前だけ言ってマイクを置いたのに聞いていた人は、間をはずされて、それが笑いに繋がったようです。

このように一定のリズムで続いてきた中に突然違うリズムが現れることによって間が崩れ、間が崩れることによって笑いが生まれる。同質の中に突然異質が現れ、それが戸惑いを生み出し、その戸惑いを乗り越え、異なる2つがお互いの特性を活かし合いながら結びついたところに笑いが創造される。このような笑いは、クリエイティビティだという説を読んだことがあります。
先の子どもの例でいえば、ボケとツッコミという異なるものが出会い、一瞬の戸惑いを経て、笑いが創造される。ということなのでしょう。

2つの異なるものが、対立しあっていている状態では平行線のままで、新しいものは何も生まれないいのです。異なるものが対立し続けるのではなく、何かの転換を経ることによって、異なる2つがお互いの特性を活かし合いながら結びついて新しい価値を生み出すのです。
異質を排除するのではなく、違いを認め活かすことによってこそ新しいものが生まれるのです。自分の考えと異なるから、やり方が異なるから、と排除するのではなく、新しい価値を創造するために、結びつくことができると良いと思います。

これからも笑いの絶えない園でありつづけたいものです。

自然との関わり

2012/01/26

今朝はとても冷え込み、氷点下5度近くまで気温が下がりました。天気予報は、しきりに大雪の予報を繰り返していますが、鞍馬ではほとんど積雪はありません。そのかわり、とても寒くなっています。感覚的なものかもしれませんが、雪が降ってしまった方が寒くないと思います。大雪で大変な地方もあるでしょう。被害が出ないことを祈ります。

寒さが厳しくなると、自然の中にはいろいろな変化が見られます。
毎朝、園児たちと一緒にお参りをしているのですが、お参りが終わった後で子どもたちに「保育園に来るときに何かみつけた?」と聞くようにしています。できるだけ自然の事象に目を向けて欲しいと願うからです。

当園はとても豊かな自然環境に囲まれており、この豊かな自然環境が、言ってみれば日常です。それは、いつでも豊かな自然に触れることができるというメリットがある反面、豊かな自然環境があたりまえになり、それに慣れてしまってあまり注意を払わなくなってしまうというデメリットもあります。

いくら、豊かな自然に囲まれていても、子どもがそれを意識したり触れたりする機会が少なければ、せっかくの環境も有効に保育に活かすことはできません。逆に都会にいても、自然に意識を向けている人は、都会の自然からでもたくさんのことを学ぶことができます。子どもが環境からおもしろいと感じるきっかけを作ったり、ヒントを示したり、子どもと環境を繋ぐのも保育者の仕事なのだと思います。
子どもは何も言わなくても興味のある物や事を、自然の中から見つけ出して遊ぶので、私が質問をするのは少しお節介なのかもしれませんが、子どもの意識が少しでも自然に向けばとの思いから、子どもに質問するようにしています。

昨日も今日もとても寒かったので、氷を見つけたかどうか聞いてみると、ほとんどの子がどこかで見つけているようです。つららができていたとか、水たまりに氷が張っていて踏んだら割れた。などといっていました。
お参りの後はみんな散歩に行っていったようで、昨日の散歩から帰ってきた3歳児は、帰ってきて一番に氷を見つけて遊んだことを報告してくれていました。今日、散歩に出かけた4・5歳児は、どこで見つけたのか大きな氷を持って帰ってきていました。私は出かけなくてはならず、4・5歳児の話しをゆっくり聞くことができなかったのが、残念です。
自然に心を向け、五感で触れて、たくさんのことを感じながら、育って欲しいと願います。

ひみつきち

2012/01/25

子どもたちが、自分で何をして遊ぶかを決め、それを選んで遊ぶ。子どもたちが主体的に決めて、活動できる。当園では、できるだけそんな環境を整えるようにしています。子どもは自ら環境に関わることによって学ぶからです。
保育室には、パズル、積み木、絵本など遊びの素材を用意した場所を設けています。部屋が広ければ、制作コーナー、パズルコーナーなど、ある程度専用のスペースを設けることができるのですが、あまり広くない当園ではそれは難しいのです。ですから、ままごとコーナー以外は遊びの素材をそれぞれの場所に置いていて、子どもたちは自分の遊びたいものを選び、保育室に持って来て自由に遊んでいます。レールをつなげて汽車を走らせている子どもたちと、積み木を積んだり並べたりしていた子どもたちが汽車が走る町を一緒に作るなど、2つの遊びが融合して新たな展開を見せることがあります。そんなときは既成概念にとらわれない子どもたちの発想に感心させられます。
ただ、十分な遊びの材料が用意できないので、興味のある遊びがなくって、走り回ってしまったりすることもあります。そんな様子が気になったのか、保育士たちが、外で思いっきり身体を動かす選択肢も用意した方が良いなどと相談していました。
室内の遊びの素材を置いている一角に5歳児の子どもたちが「ひみつきち」ができました。11月にお昼寝がなくなった5歳児たちが、午後の保育で作ったものをそこに置いたようです。私もちょうど、子どもたちが入り込めるような小さなスペースがあると良いと思っていたところなので、ぴったりです。
今朝、ひみつきちの入口の障子(これは本物)が閉じていて何人かの子どもが中でごそごそしていました。たまたま私がその前を通りかかったときに障子が開いて5歳児の女の子が何人か出てきて、「先生くじ引きして」といって箱を差し出します。自分たちで作ったのでしょう、中にはカラフルなくじがたくさん入っていて、ひとつ引きました。何があたるのかと思っていたら、「パイナップルです」といって別の箱から折り紙で作ったフルーツのアイスクリームを取り出してくれました。どうやら、ひみつきちではこれを作っていたようです。
箱に詰まったいろいろな色のアイスクリームが、まるで花束のようでとても美しかったので、昼食後に写真を撮らせてもらおうと、そのときいた女の子に頼んだら、ひみつきちの中を見せてくれました。アイスクリームは段ボールで作った冷蔵庫から、くじ引きのくじは戸棚から取り出してくれました。他にも扇風機があったり、エアコンがあったり、天井には夜空の星が描かれていたりと、とても楽しい空間になっていました。入口には「こわさないで」「ものをうごかさないで」などの注意書が貼ってありました。大切にしている様子が伝わってきます。

くじ引きのくじ(左)とフルーツアイスクリーム(右)

「    こわさないでね」

扇風機とエアコン(リモコンも)

   

家庭と子どもの姿(子ども)2

2012/01/24

毎回数字ばかり並べて恐縮ですが、もう1回だけ、平成21年度全国家庭児童調査結果の概要について、取り上げます。子どもからの回答の続きですが、こんな質問項目もありました。

大切だと思うこと
「健康であること」       61.3%(60.6%)
「友達がたくさんいること」   58.1%(59.8%)
「将来に夢を持っていること」  44.6%(48.1%)
「勇気を持っていること」    31.8%(34.3%)
「特技があること」       28.0%(32.0%)
となっており、平成16年の調査とほとんど変わっていません。

今幸せだと思うかどうか
「とても幸せだと思う」     44.5%(37.8%)
「やや幸せだと思う」      32.7%(34.4%)
「あまり幸せだと思わない」   3.6%(7.3%)
「全く幸せだと思わない」    1.2%(1.1%)
「どちらともいえない」     6.2%(8.0%)
「わからない」         7.2%(7.7%)

将来が見えにくい時代で、いろいろなことに追い立てられて余裕がなく、幸福感を感じている子どもがとても少ないのかと思っていましたが、「とても幸せだと思う」と「やや幸せだと思う」を合わせて、77.2%の子どもが幸福感を感じています。77.2%という数字は、多くの子どもが幸福感を感じているということを表しているのかもしれません。しかし、「あまり幸せだと思わない」「全く幸せだと思わない」を合わせると4.8%です。「幸せ」だと思っていない子が4.8%いるのです。「どちらともいえない」「わからない」も含めて幸福感を感じていない子どもは22.8%になります。

全ての子どもが、幸せを感じているべきなのに、2割強の子がそう感じられていないのは問題です。全ての子どもの幸せのために、私たちにできること、すべきことがたくさんありそうです。

( )内は平成16年度調査のデータ

家庭と子どもの姿(子ども)1

2012/01/23

厚生労働省が2011年12月22日に公表した「平成21年度全国家庭児童調査結果の概要」のなかで、保護者の回答から見られる家庭の様子を中心に見てみましたが、今回は子どもの回答を中心に見てみます。回答しているのは小学校5年生から18歳までの子どもです。

まずは未就学児童の状況、これは保護者による回答です
0歳から6歳までの未就学児童のうち
保育所に通っている子が33.0%(30.7%)
幼稚園に通っている子が29.4%(26.8%)
といずれも増えています。

また、無認可保育施設や事業所内保育施設に通っている子3.4%(1.5%)
自宅や親類、知り合いの家、ベビーシッターが保育している子34.2%(41.0%)
があわせて37.7%(42.4%)になります。
0歳の5.1%、1歳の29.9%、2歳の32.0%が保育園に通っていて、4歳以上で保育園と幼稚園に通っている子を年齢別に見てみると
4歳:保育園39.4% 幼稚園52.9%
5歳:保育園33.3% 幼稚園63.8%
6歳:保育園37.7% 幼稚園62.3%
4歳以上では90%以上の子が保育園や幼稚園に通っています。

1日のうちのテレビ、ゲーム、携帯電話の使用状況という項目もありました。
テレビやDVDを見る時間は、

「ほとんど見ない」     6.6%(2.6%)
「1時間以上2時間未満」 28.8%(27.7%)
「2時間以上3時間未満」 26.0%(29.7%)
「3時間以上」      25.8%(29.2%)

前回よりもテレビやDVD離れが進んでいるようです。一方でゲーム機や携帯電話の長時間使用が増えています。
・ゲームやパソコンで遊ぶ時間
「持っていない」      3.8%(3.9%)
「ほとんど遊ばない」   28.1%(31.5%)
「1時間未満」      22.7%(22.2%)
「1時間以上2時間未満」  21.9%(22.1%)
「2時間以上3時間未満」  11.9%(9.6%)
「3時間以上」       8.7%(7.6%)

・携帯電話の使用状況
「持っていない      34.7%(42.4%)
「ほとんど使用しない」  12.1%(11.2%)
「30分未満」       13.2%(12.6%)
「30分以上1時間未満」   11.2%(10.4%)
「1時間以上2時間未満」   9.8%(6.5%)
「2時間以上」       16.7%(13.9%)

とくに携帯電話では中学生の13.2%、高校生の34.5%が1日2時間以上使用しており、1時間以上使用している子は、中学生では20.5%、高校生では54.7%にものぼります。平成21年の数字ですから、現在はもっと増えているかもしれません。

( )内は平成16年度調査のデータ

家庭と子どもの姿(家庭)

2012/01/22

昨年の12月22日厚生労働省がプレスリリースとして「平成21年度全国家庭児童調査結果の概要」をとりまとめ発表しました。この調査は全国の児童とその世帯の状況を把握するために5年ごとに行われています。対象は、18歳未満の児童のいる世帯の保護者と、その世帯の小学校5年生から18 歳未満までの児童で、平成21 年12 月1日現在の状況について調査を行い、1,656 世帯1,191 人のうち、1,369 世帯1,098 人から有効回答を得たとしています。有効回答率は 世帯:82.7%、児童:92.2% です。

この調査の中で調査対象を保護者とした「世帯の状況」で厚生労働省がポイントとしてあげているのが、 父母の同居・別居の別についてです。

「父母ともいる」世帯は88.9%(平成16年度は91.6%)〈平成11年度は93.6%〉
そのうち「父母とも同居」している世帯は84.2%(88.2%)〈90.5%〉

いずれも前回、前々回に比べ減少しています。

父母ともに同居して子育てしている世帯が減ってきているということは、父母どちらか一人もしくは父母がいない世帯が増えてきているということです。

「母がいない」世帯は1.8%(1.2%)〈1.1%〉
「父がいない」世帯は9.2%(6.9%)〈5.2%〉

という数字を見ると「母がいない」「父がいない」ともに調査のたびに増えていますが、「父がいない」世帯が特に増えていることがわかります。11%が父母どちらかで子育てをしている世帯です。

その他にも様々な項目がありますが、いくつか見てみましょう。
就労の状況は、父母とも同居している世帯の父母の就労状況は共働きが55.3%(54.3%)〈51.6%〉で、少しずつ増えています。

では、お父さん、お母さんが仕事から帰ってくる時間は何時頃でしょう。
父母の仕事からの帰宅時間の状況は、

父では「7時前」が17.5%(16.7%)及び「8時前」が17.5%(17.6%)と最も多く、
次いで「9時前」14.9%(13.6%)です。
母では「6時前」が20.8%(21.3%)と最も多く、
次いで、「4時前」が9.4%(8.0%)及び「7時前」が9.4%(9.7%)

となっていて、8時前までに家に帰るお父さんが多いのがわかります。帰るのが遅くなる人がもっと多いのかと思っていましたが、そういうわけでもないようです。しかし、0時前7.6%(8.3%)0時後2.7%(3.0%)と帰宅が遅いお父さんも1割近くになります。

食事についてはどうでしょうか。

一週間のうち、家族そろって一緒に食事(朝食及び夕食)をする日数という項目もありました。

夕食では、
週「2〜3日」という世帯が一番多く36.2%(36.3%)
続いて「毎日」が26.2%(25.9%)

と、多いのですが、逆に

「1日だけ」が10.1%(10.6%)
「ほとんどない」が7.0%(7.0%)
を合わせると17.1%となります。

朝食はどうかといえば、
「ほとんどない」が一番多く、32.0%(30.6%)ですが、
次に多いのが、「毎日」の25.8%(26.3%)です。

4分の1の世帯が毎日家族そろって朝食をとっているというのは、少し意外でした。

これらの数字、どのようにご覧になりますか。

 

( )内は平成16年度調査のデータ 〈 〉内は平成11年度調査のデータ

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