2014年 1月

共感

2014/01/31

この日、私は朝から出かけなくてはならなかったのですが、できる限り子どもたちと一緒にお参りしたいと普段から思っているので、園に行きました。3・4・5歳児のみんなは、とても積極的にお参りをしてくれるようになりましたし、心を落ち着かせることにも進んで取り組んでくれています。

お参りが終わって2階から下りてくると、1歳児のHくんにばったり会いました。Hくんはにっこり笑ったかと思ったら、私の机の前に一目散です。そうです、鍵で遊びたいのです。ところが、今日は出かけなくてはならないので、ゆっくりとHくんにゆっくりとつきあっているわけにはいきません。

そこで、Hくんがどれだけ理解してくれるかわかりませんでしたが、とにかく事情を説明してみることにしました。そして、でかけなくてはならないから、今日は一緒に鍵で遊ぶことはできないことを伝えました。Hくんはうんうんとうなずいていましたが、やっぱり鍵がほしい!と体全体で伝えています。それはそうだと思います。でも無理なこともあります。ですから、「鍵で遊びたいなー!それわかるわ!」「でもな、ごめん。今日はできひんねん。」と伝えますが、泣き出してしまいました。その姿は、「鍵で遊びたいけど、先生はダメだって言う。それもわかる。わかるんやけど、やっぱり遊びたい。」と小さな心が葛藤しているように私には見えました。彼は泣きながら行ってしまいましたが、どうしようもありません。ひとりで「ごめんね。」と言いながら玄関に向かう途中に、Hくんはいました。声を上げて泣いてはいないものの、涙がこぼれています。まだまだ葛藤している様子でしたが、「今日は、しょうがないか。」と思ってくれているようにも見えました。私に都合の良い勝手な解釈かもしれませんが・・・
申し訳ない思いを胸に、園を後にしました。

子どもの情緒の安定のために最も大切なことは、子どもの欲求を適切に満たすことです。「やりたい!」と意欲を持っていることはできるだけかなえられるようにしてあげたいと思います。しかし、いつもいつもそうできるわけではありません。できないときは、子どもの思いに共感し、子どもの思いをことばにして伝える。「あなたの気持ちは痛いほどわかる。ほんまにそうやな。」と子どもの気持ちにより添い共感することだといわれています。早くしなさい!とか、わがままいわないの!などいきなり否定的なことばを使うのではなく、先ずは共感することなのです。自分の気持ちにより添ってもらうことで、安心感を得られるのだと思います。

満たされる

2014/01/30

事務机の引き出しの鍵がお気に入りの1歳児Hくん、私の姿を見つけると、ニコニコ笑いながら近づいて来ます。この日も私からキーケースを受け取ると、早速、鍵で遊び始めました。先ずは鍵穴に鍵を差し込みたいようです。鍵の向きはわかっているようなのですが、キーケースにたくさん鍵がついていて重いので、引き出しの鍵を水平に保つことが難しいのです。いろいろと試していたら、うまくいったようで、「ほらできたよ!」と言わんばかりの顔つきで、私を見るので、「できたねー!」というと自分で拍手をしていました。

その後何度も何度も鍵を抜いては入れて入れては抜いてを繰り返していました。時々私を「どうだ!」という顔で見ては、また同じことを繰り返しています。その顔つきといったら真剣そのものです。私はといえば、仕事もしたいけれどHくんが何をどうして、どう感じているのかが気になって、事務仕事どころではありません。それにしても、一所懸命に遊んでいる子どもの顔は本当にステキです。

そのうち、私が引き出しの中の物が必要になったので、Hくん「引き出し開けられる?」と尋ねると、鍵を回そうとするのです。鍵が鍵穴に入りきっていなかったりして、うまくは回りませんが、私がしてほしいことを理解し、どうすればそれがかなえられるかも知っていることには驚きました。きっといろいろなところでしっかり見て学んでいるのですね。そうしていると鍵の抜き差しだけでなく、鍵を回してみようという動きが見られるようになり、実際に何度か開けていました。

子どもがやりたいと思うことは、その子の発達に沿った必要なことだと言われます。ですからできるだけその子の「やりたい!」を保証してあげたいと思っています。というと、何でもかんでも子どもの要求するとおりにしてあげるように聞こえがちですが、そうではありません。子どもの情緒が安定するために大切なのは、子どもの欲求を適切に満たしてあげることなのです。

Hくんは鍵を使って、黙々と20分くらいは遊んでいたのではないかと思います。保育士の先生達も、私がいることがわかっているときは、すぐに連れ戻しにきたりはせずに、しばらくはHくんが遊ぶ時間を保証してくれています。先生が迎えに来たときには、Hくんは満足したのか、私にバイバイと手を振って保育室に帰って行きました。

Hくんの欲求は適切に満たされたのかな・・・

おもしろいこと

2014/01/29

いろいろなことをやっていると、どうしても後回しになる仕事が出てきます。誰かと一緒にやらなくてはならないことを優先したり、子どものことを優先していると、後回しになる仕事は、書類を作成するなど自分ひとりで行う事務仕事が多くなります。後回しにした仕事を手をつけないままにしておくと、それがだんだん成長して、重荷になってきます。期限が近づいて来ることもそうですし、自分の気持ちに中で「やらなくてはならないけれども、できていない。」という重い気持ちばかりが膨らんでいって、いつしか負担感がおおいくなるのです。そうすると、本当はとりかかれば、すぐにできるのに、「やらなくては・・・」が反対にブレーキになってしまって、とりかかれなくなってしまうこともあります。そうしているうちに、後回しにした仕事が増え自分で自分の首を絞めることになるのです。そういう状態になりかかっていたので、時間を取って一気に事務仕事をやってしまうことにしました。

結構集中できて、「仕事がはかどっているなー!」と気分を良くしているところに、1歳児のHくんがトコトコトやってきたかと思ったら、私の顔を見てニコッとほほえむので、「こんにちは」と挨拶すると、ペコリと頭を下げて私の方に近づいて来ました。パソコンに興味があるのかなと思っていると、机の引き出しの前に立ち、私の顔を見て何かを要求しています。きっと引き出しの鍵を貸してほしいといっているのです。「鍵がほしいの?」と聞くと、満面の笑顔を返してきてくれたので、キーケースを渡してあげました。ところが、私のキーケースにはたくさんの鍵がついているので、どの鍵が引き出しの鍵なのか容易にはわかりません。どうするかなと思って見ていると、どの鍵が合うのか試しはじめました。1つずつ鍵穴に合わせては、確かめてゆきます。とても真剣な顔つきでやっています。しかし鍵が多すぎて、なかなか引き出しの鍵を見つけ出すことができません。しばらく試行錯誤していましたが、どうやら見つけることができなかったようで、困ったまなざしを私に向けてきました。引き出しの鍵をつまんで「これだよ」と言って渡してあげると、ニコッと笑って受取り、今度は一所懸命に鍵を鍵穴に差し込もうとしています。

Hくんは、時々私のところにやってきて遊んでいきます。彼は、いつも何かおもしろいことは無いかと探していて、私がいると鍵で遊ぶことができると思っているようで、しばらく遊んでゆきます。きっと今の彼には、私のところにきて引き出しの鍵で遊ぶのがおもしろくてしょうがないんだと思います。

見えないものの大きな力

2014/01/28

NHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」という番組見て、麹菌が和食の味に深く関わっていることを改めて思い直しました。1000年も前から私たち日本人は麹菌の力を借りて酒を醸し、様々な食品を作ってきたばかりではなく、麹菌を育ててきたことを知りました。麹菌のおいしいお酒を造る力や、安定して生きる事のできる力を整えてきたのです。麹菌に優しく寄り添い、祈りをこめて育ててきたようなイメージを私は持ってしまいます。

番組を見て驚いたことが他にもあります。和食の出汁の基本は昆布と鰹節ですが、実は昆布も鰹節も様々な微生物が作用することでおいしくなっているのです。昆布は蔵で2年以上寝かせてはじめて使うことができるようになります。そして熟成するほどにおいしくなるようで、昆布問屋には平成元年から25年間も寝かせてある蔵囲いという昆布もあるそうです。

蔵囲い昆布とそうでない昆布でとった出汁を分析して比べると、コハク酸をはじめ、6種類の物質が熟成した昆布にだけ含まれていたようです。これらの物質が複雑に絡み合うことで、昆布のこくが生まれているのだと言います。長い間、蔵の中で寝かすことによって、そこに微生物が集まってきて、独特の味を醸し出すのでしょう。

カビを初めとした微生物がいなければ、そしてそれらをうまく活かすことがなければ、昆布だしのこくは生まれないのです。昆布蔵の中にはたくさんのカビや微生物が住んでいるそうです。それらの微生物がそれぞれの役割をうまく果たしながら、長い時間をかけて関わることで出汁に使える昆布ができるのですね。人間にできるのは、微生物が精一杯働ける、役割を果たせる環境を整えてあげることでしょうか。

昆布だけではなく鰹節も出汁には欠かせない材料です。昆布だしに鰹節を加わると人間の舌は7倍もの旨みを感じるそうです。この鰹節もできあがるまでには何度もカビをつけて、1年以上熟成させるといいます。ユネスコの無形文化遺産に登録された和食ですが、その味のほとんどがカビを初めとした微生物の働きによってできているのです。目に見えない、小さな小さな生き物たちによって支えられているのですね。

アスペルギルス オリゼ

2014/01/27

麴カビ(麹菌)アスペルギルスオリゼ。日本人は1,000年以上も前からこの微生物の力を使って酒を造ってきました。椿の灰を使って麹菌が育ちやすい環境を工夫もしていたように、酒造りの職人さんが最も大切にするのは麹なのだそうです。小さな小さな微生物、麹菌の力を借りて酒を造る。そうしてできた自然の恵みを神に捧げ人も楽しむ。自然に感謝し神を尊ぶ生活があったのでしょう。その麹菌と大豆が出会って醤油ができたのは室町時代だそうです。そう考えると、和食の味の基本は麹が支えてきたといえます。

こうして、私たちの祖先は麹菌を育て伝えてきました。麹を育てる種麹屋さんの仕事の中心は良い麹をより分けて育てること。ですから良い性質のカビを守ることだけに仕事の大半を費やすそうです。経験から色や胞子のつき方を見るだけで、菌の善し悪しがわかるのだそうです。そうやって長い年月をかけて、良い性質の麹菌を残してきました。

こうして守り育ててきた麹菌は、日本にしかいないそうです。NHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」ではアスペルギルス・オリゼ(麹菌)を研究している東京大学 北本勝ひこ教授の説を紹介していました。

アスペルギルスオリゼに似たアスペルギルスフラブスという菌がいます。同じように米を分解して糖分を作り出しますが、異なるのは毒を作ってしまうところです。このフラブスを日本人はうまく家畜化してアスペルギルスオリゼを生み出したと北本教授は考えているそうです。

もともと種麹屋は室を使ってフラブスを育てていました。熱を加えるなどして毒性を押さえたフラブスから味の良い酒を造るフラブスを選んで増やしました。室には外敵がいなかったため、その中から毒素を作るDNAを持たないカビが出てきます。その中から糖分をより効率よく作るカビを、より分けて育ててゆきます。そして、突然変異が起こり複数の核を持つアスペルギルスオリゼが生まれた。この菌を使うといつも安定しておいしい酒が造れるので、種麹屋はこのカビを増やしていったのだという説です。

昔の人は検査技術などがないなかで、どのようにして安定して糖を作る能力が高い良い胞子を選び、守り育ててきたのだろうと不思議に思います。自分の五感をフルに使って対象に寄り添い、理解しようとしたのかと想像します。そうやって心で寄り添い相手を理解しようとすることで、麹菌の良いところをどんどん伸ばすことができたのではないでしょうか。

カビ

2014/01/26

味噌でも醤油でも、麹が重要な役割を果たしています。麹は日本麹カビ(アスペルギルス・オリゼ)というカビの一種です。もちろん麹カビは自然界にも生息していますが、何百年も前から人間と共に暮らしていている麹はずっと培養されてきているのです。

NHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」では京都の東山に種麹(麹の胞子)を商う店を紹介していました。種麹屋とも、もやし屋とも呼ばれるそうです。この種麹屋さんは全国で10軒あまりしかなく、その麹で全国の味噌や醤油がつくられているのだそうです。恥ずかしながら、そういうお店があることも、そのうちの一軒が京都にあることも知りませんでした。種麹屋は800年も前からあるそうです。麴カビが繁殖してくると、新緑が萌え出るようになるので「もやし」といわれるそうです。種麹屋で大元になる菌を触ることができるのは店の主だけなのだそうです。代々受け継がれてきた麹菌を守り育てているですね。

麹菌にはほかのカビにはない優れた力があるそうです。それは、一つの細胞の中に核がたくさんあるのだと言います。普通、核は1つの細胞に1つだけだと思っていた私には驚きです。一つの核がなにかの理由でダメージを受けても、他の核があるので性質を受け継いでゆけるといいます。

空気中には、様々なカビの胞子が飛び交っています。どうして麹カビだけをより分けることができたのでしょうか。それは木灰なのだそうです。様々なカビが活発に活動する梅雨時、炊いたごはんを2つのお茶碗に盛りつけて置いておきます。一方には木灰をふりかけもう一方は何もしないままです。2日ほど置くと両方にカビが生えますが、木灰を振りかけた方は、麹カビだけが繁殖して薄緑色に、何もしない方は様々なカビが繁殖していろいろな色になるそうです。アルカリ性の灰がついたごはんに繁殖できるのはアルカリ性に強い麴カビだけなのです。椿の灰はアルカリ性が強くて他のカビを寄せ付けない効果が高いのです。

昔は普段の生活の中にあったそんな灰を使って、うまく麴カビを選び取っていたのです。番組の中では「先祖は木灰を使ってカビを手なずけた。」ということばが使われていました。言い換えれば、自然の中で自然に寄り添って自然に生活することで、自然の摂理を感じ取り、その力を借りて自然と一体になって暮らしていたのだと思います。今のように便利ではなかったかもしれませんが、自然を感じ取る能力は高かったのではないでしょうか。そこには、自然と共に生きる(そう生きざるをえないのですが…)知恵があり、それを使ってカビをてなずけたのでしょう。人間に都合が悪いからと言って、殺したり排除したりするばかりではなく、共に生き、てなずけることで、有用なものを選び取ったり、悪いものもが良いものに変わったりするかもしれません。

醤油

2014/01/25

発酵がおもしろいと思っていろいろ試しています。味噌作りもそうですが、麹菌を使うことが多いのです。米麹で塩麹や甘酒を作り置きしておいて調味料に使っています。先日仕込んだ、たくわん漬けには麹は使いませんでしたが、こちらも発酵の力でおいしくなります。しかし、和食の味のには麹が関係していることが多いのです。

麹っておもしろいと思っていたら、NHKで麹を取り上げた番組が放送されていました。NHKスペシャル 「和食 千年の味のミステリー」という番組です。昨年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。和食の調味料、味噌、醤油、みりんなどは麹菌の働きで作られていますし、もちろん日本酒もそうです。麹菌はカビの一種です。これが、タンパク質やデンプンを分解する様々な酵素を出して米や豆などを分解して、ブドウ糖やアミノ酸などを作り出します。そこに乳酸菌や酵母などが加わることで発酵してゆきます。いろいろな菌が働いているのです。

番組では、京都にある醤油蔵での醤油造りが紹介されていました。醤油の仕込みは麦の上に一晩かけて煮た大豆を敷き詰め、そこに麹菌をふりかけるようにして行われます。まるで植物の種まきをするようです。大豆の畑をつくり、いのちを育てているというつもりで行っていると醤油屋の当主はおっしゃっていました。「枯れ木に花を咲かせましょう。きれいな花を咲かせましょう。」と言いながら麹菌を大豆の畑に蒔いている当主の姿が印象的でした。

室で3日ほど寝かせると、大豆に薄緑色の花が咲いたようになります。当主は、よい麹ができたと言っていました。この状態の時に桶に移し替え塩水と混ぜます。そして、6月ごろになると桶の中がプツプツと泡立ちます。昔から蔵に住み着いている微生物が、麹菌の作った糖分などを食べにやってくるのだそうです。「この音を聞くと、生きているんだと思って、すごく幸せな音。」と当主は言っていました。こうして発酵が始まると、酸素を送るために、桶の中を混ぜます。梅雨の時期の湿度や温度が微生物の活動にとって大切なのだそうです。雨ばかりで、気分の晴れにくい梅雨の気候条件も、醤油の発酵にとっては大切な時期なのですね。

8月ごろになると、味と香りが熟成されてくるそうです。そうして1年以上寝かせて醤油ができあがるのだそうです。目には見えない様々な微生物が、うまくバランスを取って共同作業をするからこそ、おいしい醤油ができあがるのですね。

いのちを活かす 2

2014/01/24

「だしじゃこと、削り節が何とかできないかなー?」調理担当とそんな話をした翌日、午後早々に園に戻り調理室の前を取った私に「これ食べてみてください。」と調理担当が2つのお皿を差し出してくれました。そこには、だしをとったあとのだしじゃこと、削り節をそれぞれ別々に煮たものが入っていました。私は驚いて「えっ!もう作ってみたの!?」と言ってしまいました。

早速、だしじゃこの方からいただいてみました。口に含むとごま油の香りがほんのりと口に広がり、

1匹ずつ頭を取り除いただしじゃこ

噛んでみるととてもやわらかく優しい美味しさが口に広がります。だしじゃこ特有のほろ苦さがほんの少し感じられることもありますが、料理の一品と言った感じです。いままで感じられた頭の部分の硬さが口に当たる感じがしません。「口に当たる硬さがほとんど感じられないけどどう調理したの?」と聞くと、一匹ずつ頭を取り除いたのだそうです。なんと手間のかかることをしたものです。それなら、口に当たる硬さが感じられないのは当然ですね。

削り節の方は、甘辛くやわらかめに煮てありました。こちらも少し噛み応えがあって、噛めば噛むほど、旨みがしみ出してくる感じです。

歯ごたえが何とも言えない削り節

こどもが噛むにはちょうどよい硬さだと思いました。子どもたちにはこれくらいの硬さの食べ物を、よく噛んで食べてほしいものです。

両方ともあまりにおいしいので、「酒の肴にも良いかもしれないね。」などと冗談を言って笑っているところに通りかかった男性保育士に、「食べてみれば」とすすめたら、とてもおいしいので、お昼ごはんに出してほしいようなことを言っていました。

子どもたちにどう提供してゆくか、保育士の先生と相談して、よい方法を考えたいと思います。子どもたちはおいしく食べてくれるでしょうか。ちょっと楽しみです。

いのちを活かす 1

2014/01/23

鞍馬山保育園の昼食は和食メニューが多いので、昆布とだしじゃこと削り節を使ってだしをひく機会が多くあります。ですから出汁に使ったあとの昆布やだしじゃこ、削り節などがどうしても余ってきます。それらの美味しさは、出汁の中に溶け出していますが、昆布もだしじゃこも削り節もまだまだおいしくいただけそうです。これが余ってくるのはもったいないなといつも思っていました。

昨年度は、だしじゃこと削り節を甘辛く味付けして煮て、水分が少なくなるまで、煎ってから少し砕いてふりかけを作っていました。不足しがちなカルシウムを補うにはぴったりで、子どもたちにできるだけおいしく食べてほしいという思いと食材を無駄なく使いたいという思いからでした。好きな子はごはんにのせてよく食べていたのですが、だしじゃこの頭が食べにくいのか、好きな子が多いとは言えませんでした。そんなわけで今年度は、だしじゃこふりかけはしばらくお休みにしていたのです。

ですが、私は何とかもう一度食べられるようにならないものかと考えていたのでした。調理担当者にそのことを相談したら、調理も同じことを考えていたようで、「何か考えてみます。」と言ってくれました。

どうすれば、子どもたちが食べやすく、おいしくすることができるのか、暇があれば私なりにいろいろ考えてみました。だしじゃこの頭を取れば少しは食べやすくなるのか、削り節は、カラカラに乾燥させて粉末に近い状態にすれば食べやすくなるのか、いや、あまりに粉っぽいと、もっと食べにくいかもしれない。そんなことばかり考えていました。

せっかくの、昆布と、だしじゃこです。もちろんだしを取らせてもらえば、それでよいのですが、せっかくいただいた食材のいのちです。そのいのちをできるだけ活かして使う方法をなんとか考えたかったのです。最後まで活かしきることができると良いのですが・・・

夫婦の幸福度

2014/01/22

FMラジオを聞いていたら、パーソナリティーがニュージーランドのオークランド大学で、行なわれた実験について話していました。

夫婦間での喧嘩やトラブルというのはよくあるものです。お互いの主張や考えがぶつかり合うなどして、喧嘩になってしまいます。そこで、意見がぶつかり合わないように「夫が妻の言い分を全て受け入れ続けるとどうなるのか?」という実験を行なったそうです。

その実験は、何組かの夫婦に「夫婦間の幸福度を調査」ということで協力してもらって、妻には幸福度を10段階で表してくださいとだけ伝え、夫にだけ「妻の言い分を全て受け入れ続ける。たとえ主張が違うと思っても反論せず、常に同意し続ける。」という条件を伝えました。ですから実験期間中は奥さんの主張が全て受け入れられ、夫は妻の考えに従って行動するのです。実験開始時の夫の幸福度は7、妻の幸福度は8でした。

しかし実験開始から12日で、予定したよりも早く実験は終了したそうです。その理由は、夫のストレスがひどすぎて、これ以上実験を続けるのは危険と判断されたからだそうです。このときの夫の幸福度は3と実験開始時の7から急落したのに対し、妻の幸福度は実験開始時の8よりわずか0.5高い8.5だったそうです。

パートナーのどちらかが、常に相手の意見に同意し続けることでは、幸福度は上がらない。ある程度ぶつかり合うことも必要なのかもしれない。問題はそのぶつかり合い方なのかもしれない。とパーソナリティは言っていました。

この放送を聞いて、お互いが自分の想いを伝えることの大切さと、相手の想いを受け止めることの大切さを感じました。自分の想いを冷静に伝えれば良いのに、つい感情的になるから、けんかに発展してしまうのかもしれません。また、相手の意見を受け入れると、この実験のようになるかもしれません。かといって、聞かなければ、相手は自分の想いを伝えることができなくなってしまいます。ですから、まずは相手の想いを受け止めることです。全て聞き終わる前から、相手が話す前から、否定的な気持ちで聞いても、相手は受け止められた感じはしません。まずは丸ごと受け止め、そして自分の想いを伝える。ということがお互いに行なえれば、衝突は起こりにくいのかもしれません。

これは夫婦間にかぎらず、いろいろな人がコミュニケーションをとるうえで必要なことなのではないでしょうか。当園が目指す子ども像に「自分の想いを伝えられる子」「相手を受け止められる子」というのがあります。自分の想いをしっかり伝えるし、相手の事も精一杯受け止めることができる。子どもも大人もそうできるようになると良いと思います。

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