園長ブログ

醤油

2014/01/25

発酵がおもしろいと思っていろいろ試しています。味噌作りもそうですが、麹菌を使うことが多いのです。米麹で塩麹や甘酒を作り置きしておいて調味料に使っています。先日仕込んだ、たくわん漬けには麹は使いませんでしたが、こちらも発酵の力でおいしくなります。しかし、和食の味のには麹が関係していることが多いのです。

麹っておもしろいと思っていたら、NHKで麹を取り上げた番組が放送されていました。NHKスペシャル 「和食 千年の味のミステリー」という番組です。昨年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。和食の調味料、味噌、醤油、みりんなどは麹菌の働きで作られていますし、もちろん日本酒もそうです。麹菌はカビの一種です。これが、タンパク質やデンプンを分解する様々な酵素を出して米や豆などを分解して、ブドウ糖やアミノ酸などを作り出します。そこに乳酸菌や酵母などが加わることで発酵してゆきます。いろいろな菌が働いているのです。

番組では、京都にある醤油蔵での醤油造りが紹介されていました。醤油の仕込みは麦の上に一晩かけて煮た大豆を敷き詰め、そこに麹菌をふりかけるようにして行われます。まるで植物の種まきをするようです。大豆の畑をつくり、いのちを育てているというつもりで行っていると醤油屋の当主はおっしゃっていました。「枯れ木に花を咲かせましょう。きれいな花を咲かせましょう。」と言いながら麹菌を大豆の畑に蒔いている当主の姿が印象的でした。

室で3日ほど寝かせると、大豆に薄緑色の花が咲いたようになります。当主は、よい麹ができたと言っていました。この状態の時に桶に移し替え塩水と混ぜます。そして、6月ごろになると桶の中がプツプツと泡立ちます。昔から蔵に住み着いている微生物が、麹菌の作った糖分などを食べにやってくるのだそうです。「この音を聞くと、生きているんだと思って、すごく幸せな音。」と当主は言っていました。こうして発酵が始まると、酸素を送るために、桶の中を混ぜます。梅雨の時期の湿度や温度が微生物の活動にとって大切なのだそうです。雨ばかりで、気分の晴れにくい梅雨の気候条件も、醤油の発酵にとっては大切な時期なのですね。

8月ごろになると、味と香りが熟成されてくるそうです。そうして1年以上寝かせて醤油ができあがるのだそうです。目には見えない様々な微生物が、うまくバランスを取って共同作業をするからこそ、おいしい醤油ができあがるのですね。

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