2014年 1月

カビ

2014/01/26

味噌でも醤油でも、麹が重要な役割を果たしています。麹は日本麹カビ(アスペルギルス・オリゼ)というカビの一種です。もちろん麹カビは自然界にも生息していますが、何百年も前から人間と共に暮らしていている麹はずっと培養されてきているのです。

NHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」では京都の東山に種麹(麹の胞子)を商う店を紹介していました。種麹屋とも、もやし屋とも呼ばれるそうです。この種麹屋さんは全国で10軒あまりしかなく、その麹で全国の味噌や醤油がつくられているのだそうです。恥ずかしながら、そういうお店があることも、そのうちの一軒が京都にあることも知りませんでした。種麹屋は800年も前からあるそうです。麴カビが繁殖してくると、新緑が萌え出るようになるので「もやし」といわれるそうです。種麹屋で大元になる菌を触ることができるのは店の主だけなのだそうです。代々受け継がれてきた麹菌を守り育てているですね。

麹菌にはほかのカビにはない優れた力があるそうです。それは、一つの細胞の中に核がたくさんあるのだと言います。普通、核は1つの細胞に1つだけだと思っていた私には驚きです。一つの核がなにかの理由でダメージを受けても、他の核があるので性質を受け継いでゆけるといいます。

空気中には、様々なカビの胞子が飛び交っています。どうして麹カビだけをより分けることができたのでしょうか。それは木灰なのだそうです。様々なカビが活発に活動する梅雨時、炊いたごはんを2つのお茶碗に盛りつけて置いておきます。一方には木灰をふりかけもう一方は何もしないままです。2日ほど置くと両方にカビが生えますが、木灰を振りかけた方は、麹カビだけが繁殖して薄緑色に、何もしない方は様々なカビが繁殖していろいろな色になるそうです。アルカリ性の灰がついたごはんに繁殖できるのはアルカリ性に強い麴カビだけなのです。椿の灰はアルカリ性が強くて他のカビを寄せ付けない効果が高いのです。

昔は普段の生活の中にあったそんな灰を使って、うまく麴カビを選び取っていたのです。番組の中では「先祖は木灰を使ってカビを手なずけた。」ということばが使われていました。言い換えれば、自然の中で自然に寄り添って自然に生活することで、自然の摂理を感じ取り、その力を借りて自然と一体になって暮らしていたのだと思います。今のように便利ではなかったかもしれませんが、自然を感じ取る能力は高かったのではないでしょうか。そこには、自然と共に生きる(そう生きざるをえないのですが…)知恵があり、それを使ってカビをてなずけたのでしょう。人間に都合が悪いからと言って、殺したり排除したりするばかりではなく、共に生き、てなずけることで、有用なものを選び取ったり、悪いものもが良いものに変わったりするかもしれません。

醤油

2014/01/25

発酵がおもしろいと思っていろいろ試しています。味噌作りもそうですが、麹菌を使うことが多いのです。米麹で塩麹や甘酒を作り置きしておいて調味料に使っています。先日仕込んだ、たくわん漬けには麹は使いませんでしたが、こちらも発酵の力でおいしくなります。しかし、和食の味のには麹が関係していることが多いのです。

麹っておもしろいと思っていたら、NHKで麹を取り上げた番組が放送されていました。NHKスペシャル 「和食 千年の味のミステリー」という番組です。昨年、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。和食の調味料、味噌、醤油、みりんなどは麹菌の働きで作られていますし、もちろん日本酒もそうです。麹菌はカビの一種です。これが、タンパク質やデンプンを分解する様々な酵素を出して米や豆などを分解して、ブドウ糖やアミノ酸などを作り出します。そこに乳酸菌や酵母などが加わることで発酵してゆきます。いろいろな菌が働いているのです。

番組では、京都にある醤油蔵での醤油造りが紹介されていました。醤油の仕込みは麦の上に一晩かけて煮た大豆を敷き詰め、そこに麹菌をふりかけるようにして行われます。まるで植物の種まきをするようです。大豆の畑をつくり、いのちを育てているというつもりで行っていると醤油屋の当主はおっしゃっていました。「枯れ木に花を咲かせましょう。きれいな花を咲かせましょう。」と言いながら麹菌を大豆の畑に蒔いている当主の姿が印象的でした。

室で3日ほど寝かせると、大豆に薄緑色の花が咲いたようになります。当主は、よい麹ができたと言っていました。この状態の時に桶に移し替え塩水と混ぜます。そして、6月ごろになると桶の中がプツプツと泡立ちます。昔から蔵に住み着いている微生物が、麹菌の作った糖分などを食べにやってくるのだそうです。「この音を聞くと、生きているんだと思って、すごく幸せな音。」と当主は言っていました。こうして発酵が始まると、酸素を送るために、桶の中を混ぜます。梅雨の時期の湿度や温度が微生物の活動にとって大切なのだそうです。雨ばかりで、気分の晴れにくい梅雨の気候条件も、醤油の発酵にとっては大切な時期なのですね。

8月ごろになると、味と香りが熟成されてくるそうです。そうして1年以上寝かせて醤油ができあがるのだそうです。目には見えない様々な微生物が、うまくバランスを取って共同作業をするからこそ、おいしい醤油ができあがるのですね。

きょうのごはん

2014/01/25

(昼食)
・カレーライス
・海鮮サラダ
・たまごスープ

 

 

*普段は乳児と幼児で、別れて給食を食べるのですが、本日は土曜日ということもあり、園児数が少なかったので0歳児クラスから5歳児クラスまで一緒に同じ部屋で給食を食べました。いつも以上に賑やかで、おかわりもたくさんしてくれました!!嬉しかったです♪

きょうのごはん

2014/01/24

(昼食)
・ライスコロッケ
・ささみのさっぱりサラダ
・スープ
・フルーツ

(おやつ)
・蒸しパン

 

 
*本日のおやつの蒸しパンにはみかんを入れました。みかんが美味しい季節ですね。

いのちを活かす 2

2014/01/24

「だしじゃこと、削り節が何とかできないかなー?」調理担当とそんな話をした翌日、午後早々に園に戻り調理室の前を取った私に「これ食べてみてください。」と調理担当が2つのお皿を差し出してくれました。そこには、だしをとったあとのだしじゃこと、削り節をそれぞれ別々に煮たものが入っていました。私は驚いて「えっ!もう作ってみたの!?」と言ってしまいました。

早速、だしじゃこの方からいただいてみました。口に含むとごま油の香りがほんのりと口に広がり、

1匹ずつ頭を取り除いただしじゃこ

噛んでみるととてもやわらかく優しい美味しさが口に広がります。だしじゃこ特有のほろ苦さがほんの少し感じられることもありますが、料理の一品と言った感じです。いままで感じられた頭の部分の硬さが口に当たる感じがしません。「口に当たる硬さがほとんど感じられないけどどう調理したの?」と聞くと、一匹ずつ頭を取り除いたのだそうです。なんと手間のかかることをしたものです。それなら、口に当たる硬さが感じられないのは当然ですね。

削り節の方は、甘辛くやわらかめに煮てありました。こちらも少し噛み応えがあって、噛めば噛むほど、旨みがしみ出してくる感じです。

歯ごたえが何とも言えない削り節

こどもが噛むにはちょうどよい硬さだと思いました。子どもたちにはこれくらいの硬さの食べ物を、よく噛んで食べてほしいものです。

両方ともあまりにおいしいので、「酒の肴にも良いかもしれないね。」などと冗談を言って笑っているところに通りかかった男性保育士に、「食べてみれば」とすすめたら、とてもおいしいので、お昼ごはんに出してほしいようなことを言っていました。

子どもたちにどう提供してゆくか、保育士の先生と相談して、よい方法を考えたいと思います。子どもたちはおいしく食べてくれるでしょうか。ちょっと楽しみです。

いのちを活かす 1

2014/01/23

鞍馬山保育園の昼食は和食メニューが多いので、昆布とだしじゃこと削り節を使ってだしをひく機会が多くあります。ですから出汁に使ったあとの昆布やだしじゃこ、削り節などがどうしても余ってきます。それらの美味しさは、出汁の中に溶け出していますが、昆布もだしじゃこも削り節もまだまだおいしくいただけそうです。これが余ってくるのはもったいないなといつも思っていました。

昨年度は、だしじゃこと削り節を甘辛く味付けして煮て、水分が少なくなるまで、煎ってから少し砕いてふりかけを作っていました。不足しがちなカルシウムを補うにはぴったりで、子どもたちにできるだけおいしく食べてほしいという思いと食材を無駄なく使いたいという思いからでした。好きな子はごはんにのせてよく食べていたのですが、だしじゃこの頭が食べにくいのか、好きな子が多いとは言えませんでした。そんなわけで今年度は、だしじゃこふりかけはしばらくお休みにしていたのです。

ですが、私は何とかもう一度食べられるようにならないものかと考えていたのでした。調理担当者にそのことを相談したら、調理も同じことを考えていたようで、「何か考えてみます。」と言ってくれました。

どうすれば、子どもたちが食べやすく、おいしくすることができるのか、暇があれば私なりにいろいろ考えてみました。だしじゃこの頭を取れば少しは食べやすくなるのか、削り節は、カラカラに乾燥させて粉末に近い状態にすれば食べやすくなるのか、いや、あまりに粉っぽいと、もっと食べにくいかもしれない。そんなことばかり考えていました。

せっかくの、昆布と、だしじゃこです。もちろんだしを取らせてもらえば、それでよいのですが、せっかくいただいた食材のいのちです。そのいのちをできるだけ活かして使う方法をなんとか考えたかったのです。最後まで活かしきることができると良いのですが・・・

きょうのごはん

2014/01/23

(昼食)
・ちりめん和えご飯
・筑前煮
・ねばねば汁

(おやつ)
・芋ようかん

 

 

*本日の給食の筑前煮では人参を大きくカットしました。それは前歯を使い自分の口の大きさに合わせて噛むということを練習するためです。

夫婦の幸福度

2014/01/22

FMラジオを聞いていたら、パーソナリティーがニュージーランドのオークランド大学で、行なわれた実験について話していました。

夫婦間での喧嘩やトラブルというのはよくあるものです。お互いの主張や考えがぶつかり合うなどして、喧嘩になってしまいます。そこで、意見がぶつかり合わないように「夫が妻の言い分を全て受け入れ続けるとどうなるのか?」という実験を行なったそうです。

その実験は、何組かの夫婦に「夫婦間の幸福度を調査」ということで協力してもらって、妻には幸福度を10段階で表してくださいとだけ伝え、夫にだけ「妻の言い分を全て受け入れ続ける。たとえ主張が違うと思っても反論せず、常に同意し続ける。」という条件を伝えました。ですから実験期間中は奥さんの主張が全て受け入れられ、夫は妻の考えに従って行動するのです。実験開始時の夫の幸福度は7、妻の幸福度は8でした。

しかし実験開始から12日で、予定したよりも早く実験は終了したそうです。その理由は、夫のストレスがひどすぎて、これ以上実験を続けるのは危険と判断されたからだそうです。このときの夫の幸福度は3と実験開始時の7から急落したのに対し、妻の幸福度は実験開始時の8よりわずか0.5高い8.5だったそうです。

パートナーのどちらかが、常に相手の意見に同意し続けることでは、幸福度は上がらない。ある程度ぶつかり合うことも必要なのかもしれない。問題はそのぶつかり合い方なのかもしれない。とパーソナリティは言っていました。

この放送を聞いて、お互いが自分の想いを伝えることの大切さと、相手の想いを受け止めることの大切さを感じました。自分の想いを冷静に伝えれば良いのに、つい感情的になるから、けんかに発展してしまうのかもしれません。また、相手の意見を受け入れると、この実験のようになるかもしれません。かといって、聞かなければ、相手は自分の想いを伝えることができなくなってしまいます。ですから、まずは相手の想いを受け止めることです。全て聞き終わる前から、相手が話す前から、否定的な気持ちで聞いても、相手は受け止められた感じはしません。まずは丸ごと受け止め、そして自分の想いを伝える。ということがお互いに行なえれば、衝突は起こりにくいのかもしれません。

これは夫婦間にかぎらず、いろいろな人がコミュニケーションをとるうえで必要なことなのではないでしょうか。当園が目指す子ども像に「自分の想いを伝えられる子」「相手を受け止められる子」というのがあります。自分の想いをしっかり伝えるし、相手の事も精一杯受け止めることができる。子どもも大人もそうできるようになると良いと思います。

きょうのごはん

2014/01/22

(昼食)
・梅ごはん
・豆腐の煮物
・芋のきんぴら
・のっぺい汁

(おやつ)
・豆腐団子

 

 

*本日のおやつの豆腐団子は3歳児、4歳児のクッキングです。みんな楽しそうに丸めていました。喉につまるといけないので0歳児はりんごを食べました。1歳児は団子1個とりんごでした。

年長ぐみさんと赤ちゃんとの関わり(赤ちゃん当番)

2014/01/22

5歳児たちが0歳児のお世話をする「赤ちゃん当番」という活動があります。赤ちゃん当番に来ると、5歳児たちはみんな赤ちゃんを愛おしむ優しい顔になって、赤ちゃんの視線に自分達がおりていって、そっと話しかけたりして接してくれています。

この日は、5歳児のEちゃんが赤ちゃん当番に来てくれて、0歳児のAちゃんを寝かせつけたいと言って、トントンしてくれようとしてましたが、Aちゃんはニコニコしながらすぐに布団から這い出て来て、まだまだ眠くない様子。

Aちゃんは午前睡もして、まだ眠たくないのかもしれないので少しの間、遊んでもらう事にしました。0愛児のAちゃんは、ずっと年上のEちゃんに遊んでもらえると分かると、満面の笑顔で巧技台の斜面をハイハイで登り上まで行くと、クルッと方向転換してタタタタタ…と高速ハイハイでEちゃんのところまで下りて来ることを繰り返していました。

その姿を見たEちゃん(5歳児)は「かわいい〜」と笑って見ています。Aちゃんが「うい…オ—」と、いっぱいおしゃべりするたびに同じようにまねして返してくれていたのでAちゃんも大喜び。赤ちゃんは誰かの真似をする事も好きですが、誰かが自分の真似をしてくれることをとても喜びます。誰も教えたわけではないのに、5歳児のEちゃんはちゃんとそれがわかっていたようです。

そして、Eちゃんは「Aちゃんが一緒に遊んでっていっているみたい。」と表情を見てAちゃんの気持ちをしっかり読み取ろうとしていました。小さい友だちの心に寄り添い、心を交わすことができる本当の優しさが育っている事を嬉しく思い、またそれは、小さい赤ちゃんにも伝わっているのだと思いました。

スクロール