2012年 5月

日食

2012/05/21

 ピンホールカメラで紙に映した日食

今日は、どのメディアも金環日食の話題で持ちきりです。関西で見られるのは282年ぶり、今回のように、日本の広い範囲で見られるのは、932年ぶりだそうです。

京都では、食のはじめが6時17分、金環食の始めが7時30分00秒、食の最大が7時30分35秒、金環食の終わりが7時31分9秒、食の終わりが8時55分17秒というデータが国立天文台のホームページで公開されていたので、それに合わせて観察してみました。鞍馬ではちょうどその時間は空に雲もかからず、観察することができました。

    食の最大の頃の太陽

しかし、食が最大になるはずの7時30分頃にも金環日食にはならなかったように思います。それでも日食の間は、少しずつ薄暗くなってきて、夕方の明るさともちがう、ちょっと不思議な暗さになっていました。
後で調べてわかったのですが、金環日食の北限界線が京都を通っており、京都市のかなり北に位置する鞍馬は、金環食の北限界線より北に外れていたので、部分日食しか見えなかったようです。

金環日食の北限界線について調べていて、少しだけわかったのです

   食の最大の頃の薄暗さ

が、北限界線よりわずかに南では、ベイリービーズという現象が数秒から数十秒にわたって見られる可能性があるそうです。ベイリービーズとは月の表面の山や谷が作る凹凸により、金環の一部が途切れ、ビーズが繋がったように見える現象だそうです。鞍馬に近い市原から岩倉、宝ヶ池あたりが北限界線の誤差の範囲のようなので、この辺りにベイリービーズを観測するのに、良い場所があったのかもしれません。

普段、あまり意識していない太陽や月ですが

  食の終わりの頃の明るさ

金環日食によって太陽や月に関心を持つ人が増えたでしょう。あたりまえのように思っている太陽や月の微妙なバランスを考えると、本当に有ること難い不思議な世界だと思います。

いい加減

2012/05/20

チャレンジ体験でお寺に来ていた中学生たちと一緒に写経をしました。一字一字丁寧に書くことを目指してみんなで取り組みますが、どうしても時間差ができます。今回の参加者はとても書写するのが早かったのですが、中にはとても丁寧に書く子もいて、時間差がかなりありました。早く書き終わった子が書き終わっていない子を待っている間に読めるように本を用意しています。ひろ さちや原作、鈴木出版発行の「仏教コミックス」というマンガで、仏教についてわかりやすく書かれているシリーズです。

私も、早く写経を終えた子どもたちと一緒に読んでみました。私自身、静かに座ったり、写経をしたり、マンガを読んだり、結構楽しんでいるかもしれません。どうせやらなくてはならないのなら、楽しくやった方がいいと思います。

巻末にひろさちやの「まんだら漫歩録」というエッセイがあります。私が読んでいた「おシャカさまの悟り」という巻の「いい加減大好き」というタイトルのエッセイが気になりました。

「いい加減」ということばには、「いい加減なことをしてはいけない」という使い方と「いい加減にしなさい」という使い方があり、「いい加減」がいいことなのか、悪いことなのかという疑問をなげかけます。そして、いい加減は仏教でいう中道にあたるのではないかとしています。
極端ではなく、適度な、まあまあ、というところでしょうか。
お釈迦様は悟りを得たいと出家し、とても厳しい苦行を行われました。ところが、苦行では悟りは得られないと、苦行を捨てて中道を行うことで悟りを得られました。苦行が血眼の努力だとすれば、中道はゆるやかな努力、努力をすることが楽しいような努力をすることだそうです。

自分のことを指摘されているかのようでちょっと、ドキッとしました。「こうしなければ!」という思いが強すぎて、血眼になっているのかもしれません。自分自身が楽しくなるような努力をしているのか。と聞かれると、素直にうなずくことはできません。そのつもりではいるのですが・・・

中道の精神は、いい加減の精神だそうです。あまりにも血眼になってやっているときは「もう少しいい加減にしなさい!」と言わねばならず、反対に中途半端にチャランポランにやっているようなときは「そんないい加減なことではいけません!」と言わなければならない。いい加減でいなければならないと同時にいい加減でいてはいけないから「いい加減」は難しいとされていました。

もう少し肩の力を抜いた方が良いのかもしれませんね。

親子で

2012/05/19

親子で楽しむ行事を行いました。「親子遠足」という名前ですが、どこかへ出かけたわけではありません。以前は、親子でいろいろなところに出かける「親子遠足」と、保護者に園に集まっていただく「休日参観」を5月と6月に行っていました。最近、行事を見直す中で、子どもをまん中に、保護者同士、保護者と職員など、「保育園に関わるみんなが繋がる」ことを目的として、日曜参観と親子遠足を統合しました。年度の初めは新入園児さんの保護者を迎えて顔ぶれも変わるので、お互いに知り合えればということです。

今年は、子どもたちが普段から親しんでいる散歩道を保護者にも経験していただくこと。親子でペットボトルに稲を植えること。みんなでおべんとうを食べること。給食の一部を保護者に試食していただくこと。なによりも「楽しむこと」を目標に行いました。今回担当の職員が、早いうちから綿密な計画をたて、着実に形にしていってくれたので、とてもスムーズに運ぶことができたようです。ペットボトルを持参してくださるよう保護者にお願いをしたり、稲を植える土をふるいにかけたり、全職員が協力し、多岐にわたって力を尽くしてくれました。

戸外で行うことばかりなので、お天気が心配されたのですが、今日は朝から雲一つない快晴。朝は気温が低かったのですが、日差しとともに気温も上がり、少し風もある、とても清々しい日になりました。実は雨が降ったときのことを考えて、大きなブルーシートで園庭の一部に雨よけをかける予行演習まで行っていたそうです。

そんなお天気のもと、43家族、約130名の方が園に集まってくださいました。2つのチームに分かれて、お散歩と、稲植えを交互に行います。ペットボトルに自由に絵を描き、土を入れ、水を入れてかき混ぜ、しばらくしたら稲の苗を植えて畑の隅に置きに行きます。ペットボトルへのお絵描きを楽しむ子、土に水を混ぜたときのどろんこが大好きな子、みんな家族でとても楽しんでくださっていました。
お散歩も、お寺の参道方面ですが、子どもたちの日常を保護者にも体験していただくのが目的だったので、好きなように散策していただきました。

両チームとも稲を植え終わったら、いよいよおべんとうです。大半の人が園庭の木陰で、近くに座った家族と話をしながら、楽しそうにしてくださっていました。このときに園からは「お吸い物」を人数分用意して、召し上がっていただきました。いつも子どもたちが食べている昼食をすこしだけ保護者にも味わっていただこうという趣旨です。

青空に若葉の緑が映える中、家族でゆったりと、みんなでワイワイと過ごしていただくことのできるとても良い機会になったのではないかと思います。子どもはお弁当を食べ終わって遊び、お母さん方はおしゃべりをしていらっしゃる姿がとてものんびりくつろいでくださっているように感じられ、うれしくなりました。

ご参加くださった保護者の皆様ありがとうございました。今回残念ながらご参加いただけなかった方は、次の機会にはご参加をお待ちしております。

中学生

2012/05/18

5月14日から18日までの5日間、お寺に職場体験の中学生が来ていました。冬に来ていたのは洛北中学校の2年生で、年明けにも来る予定です。今回初めて洛北中学校以外から来てくれたのは、旭丘中学校の2年生5名でした。体験メニューは、午前中に瞑想と写経、昼食をはさんで、掃除や自然観察、茶道体験などを行います。今回も私は午前中の瞑想と写経を担当したので、今週はほとんど園にいることができませんでした。

中学生も、じっと坐っているのは大変だったようですが、今回、来てくれた子どもたちは、写経するのがとても早くて驚きました。早い子は45分くらいで書写し終わっています。

冬と違って、とてもさわやかな季節だったので、もう少し屋外での活動を多くしてあげれば良かったかもしれません。いつもは冬の一番寒いときに来るので、屋外の活動は少なめなのですが、今回は少しメニューを見直して、屋外の活動を増やすことを考えるべきでした。それと、子どもたちが2年生になりたてなのです。年度の初めと終わりでは、子どもたちの気分もかなり違うのではないかと思います。

私自身も、仕事がたくさんたまっていて、正直なところかなりきつい状態です。そんなこともあって昨日の朝は少し重い気分だったのですが、体験日課の朝のお参りを行うべく、集まってきた中学生たちの顔を見たら、なぜかとてもうれしくなり、自然に笑顔になることができました。彼らから元気をもらえたということですね。

おいもの苗

2012/05/17

シロツメグサのくびかざり

おいもの苗を植え、いちごを採ることを目的に4歳児5歳児が滋賀県まで出かけました。一番の目的は、秋のおいも掘りのためにおいもの苗を植えることです。でも、子どもたちは、いちごを食べることに最も興味を持っていたようでした。

多少の手直しは必要だったものの、おいもの苗もしっかりと植えて、いちごもたくさんとって、味見もして満足していました。そうこうしているうちにお昼近くなり、もう一つの楽しみ、おべんとうが待っています。

草むらで、泳ぐ、転がる

畑の近くにある「みさき自然公園」という守山市営の施設を使わせていただいてお弁当を食べました。畑から歩いて行ける距離で、平日は人も少なくて、いつも思いっきり遊ばせていただいています。守山市は平野なので山らしい山はないそうで、この公園内の人工の山が守山市で一番高い山だと聞いたことがあります。今回はその山の上まで登って、みんなでおべんとうを食べました。蒼い空に初夏の日差し、気温はあまり高くなく、風もあってとてもさわやかです。

おべんとうの後は、皆思い思いに遊びました。

    野を越え山越え

鞍馬は自然はいっぱいですが、広々とした原っぱのようなところはないので、子どもたちはいつもと違う遊び方ができることを喜んでいました。たくさん咲いていたシロツメグサで首飾りを作る子、せせらぎでザリガニを捕まえる子、小さな亀や蛙を見つける子、草むらで転げ回ったり泳いだりしている子、中には勢い余って田んぼに落ちて泥だらけになっていた子もいました。

とてもゆったりした時間が流れていました。
                              

      なにかいるかな?

いちごかり

2012/05/16

いちごがりとさつまいもの苗を植えに行きました。滋賀県の守山市にいらっしゃる方が畑を作っていらっしゃるのですが、当園の園児たちのためにいちごを植えたり、さつまいもを植えたりしてくださっています。

15年くらい前になると思います。最初は秋にはおいもほりにいっていたのですが、いつのころからか、収穫だけではなく植えることも体験しようということで、この時期にも畑を訪れるようになりました。この時期に畑に来るのならと、いちごも植えてくださり、さつまいもの苗を植えた後、いちご狩りもさせていただいています。今年も、4歳児と5歳児25名全員がバスに乗って行きました。

おおきなおいもができますように!

畑に着いたら、ご挨拶をしておいもの苗を植えます。子どもたちはどんなものを植えるのか見せると、キョトントしています。「えっ!こんな草を植えるの?」と今にも言い出しそうな顔つきです。小さなおいもでも植えると思っていたのでしょうか。とはいうものの、これが意外と難しく、あらかじめ作ってくださっていた穴の中に苗の元を下にして入れ、後は土をかけるだけなのですが、肝心の元の部分が地面の上に出ていたりするので、最後にもう一度チェックしてあげる必要があります。子どもが植えた後の手直しを同行していただいたお寺の職員さんにお願いして、子どもたちは、いちご狩りを始めています。

  いちごがたくさん採れました

赤く実ったいちごをとるのがおもしろいようで、どんどん収穫してゆきます。あっという間に採り尽くしてしまいました。

このいちごも当園の園児たちのために植えてくださっていて、ご近所の方も採りに来たりされるようですが、まず、当園の園児が最初に採らせていただいているそうです。本当にありがたいことです。

いちごを摘んでいる間、4歳の男の子が「あっ!いちごが動いている」と言うので行ってみると、小さないちごが地面の上を少しずつ移動しているのです。よーく見てみると、蟻が、懸命にいちごを運んでいたのでした。確かにいちごが動いていました。

収穫が終わったら、採れたてのいちごを少しずつ味わってみました。水で洗って、ぱくり!甘酸っぱい香りがあたりに広がり、とてもおいしそうです。それはそうですね。新鮮だし、愛情をたっぷり受けて育ったいちごですから。

ブルース・ブラザース

2012/05/15

このところ我が家で流行っている映画があります。『ブルース・ブラザース』です。1980年のアメリカ映画でコメディアンのジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが主演しコメディー、アクション、ミュージカルなどの要素がちりばめられています。上品とはいえない映画ですが、結構楽しめます。楽しみの一つが、豪華な出演者です。私はあまりアーティストを知りませんが、そんな私が知っているだけでもジェームス・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、そして、チャカ・カーンもちょい役で出演しています。

なぜ、うちで『ブルース・ブラザース』をよく見るようになったのか、その原因は家内と4歳の三男です。家内はもともとR&B系の曲やアーティストが好きで若い頃からよく聞いていたそうです。

ある日突然、久しぶりに『ブルース・ブラザース』の映画が見たくなったというので、DVDを手に入れて見ていたら、はまってしまったのが三男なのです。最近でこそ少し下火になったものの少し前までは、何度も何度も自分でDVDを再生して見ていました。

私としてはスラングも多いし、子どもに何度も見せようとは思わなかったのですが、そういうのに限って子どもは見たがったりします。

そのうち挿入歌なども口ずさむようになって、最初の方に出てくる曲「SHE CAUGHT THE KATY」などは良く歌っていました。もちろん最初の1フレーズだけですし、英語も正しくはないのですが、なんとなくそれっぽく聞こえるから不思議です。また、レイチャールズがキーボードを弾きながら歌う「SHAKE A TAILFEATHER」などは一緒に踊ったりしていました。よほど気に入ったのか、ラジオや町中で挿入歌が聞こえると、すぐに反応していました。

親はよく、子どものためにと思って、自分があまり好きでもないのに高尚そうな絵を子どもに見せたり、曲を聴かせたりすることがありますが、親が努力をする割には子どもが興味を示さなかったりするものです。それよりも親が見たいもの聞きたいものを楽しく見聞きすることの方がよほど子どもに影響を与えたり、子どもも楽しんだりすると思います。親も無理して頑張らないで、素直な自分のまま、素直に楽しめば良いのかもしれませんね。家内と三男を見ていてそう思いました。

今日、車でラジオを聞いていたら、ベーシストのドナルド・(ダック)・ダンさんが公演先の東京のホテルで亡くなられたというニュースが流れていました。70歳だったそうです。映画『ブルース・ブラザース』にも出演されていました。たまたま、昨夜三男が久しぶりに映画を見ていたので、思い出して今日のブログで取り上げてみたのでした。ご冥福をお祈りします。

経塚巡拝 2

2012/05/14

5月の真っ青な空を背景に薄緑色の若葉のトンネルをくぐって一日歩き続けた経塚巡拝。木漏れ日がキラキラし、立ち止まるとひんやりとした風が汗をぬぐってくれます。道なき道をかき分けて山をよじ登るときはきつくても、歩みを進める感覚を足の裏に感じながら一歩一歩、上へと進めば、息が切れたり、足が痛かったり、しますが、それを超えた気持ちの良さがあります。

参加者は4歳から70歳近い方まで両若男女23名。かなりの人数です。地元の方やお寺の職員さんなど山歩きに離れている人から、普段は山歩きなどしない人もいらっしゃいます。当園の保育士も一人参加してくれました。こんな時に難しいのが、みんながどれくらいの早さで歩くかです。誰でも、自分のペースで歩くのが一番楽なのですが、歩くのが速い人がどんどん歩いて行ってしまうと、ゆっくりの人がとてもきつくなってしまいます。早い人が少し待ってあげて遅い人が追いついたらまた歩くというのでは、遅い人は休む間がありません。

前半は山を歩き慣れた人が先頭に立っていたので、慣れていない人にはすこしきつかったかもしれません。しかし、後半は子どもが前を歩いていたので、かなりゆっくりとしたペースになりました。
前半のみんなが元気があるうちに、少し頑張って歩き、後半の疲れてきたところでペースが落ちたので、年長者や歩き慣れない女性の方はとても助かったとおっしゃっていました。

社会にはいろいろな人がいます。その中には子どもや、高齢者、しょうがいのある人など弱い立場の人がいます。弱い立場の人が一番大切にされる社会が健全な社会だと聞いたことがあります。

山歩きは遅い人に合わせるのが基本ですが、今回も一番弱い子どもや、年長者、女性にあったペースで歩けたことがみんなの満足につながったのだと思います。後半先頭を歩いた子どもは、「あなたのペースで歩けてとても楽だった」とみんなから感謝されていました。

いろいろな場面で、弱い人が大切にされると良いですね。

経塚巡拝

2012/05/13

経塚巡拝というお寺の行事がありました。経塚とは、写経を埋納した場所です。鞍馬山や周りの山々の尾根をはじめとした山の中に17箇所の経塚が有り、一カ所ずつお参りして巡ります。

そもそもなぜ経典を埋納したのでしょうか。書写した経典を後世に伝えるために経典を経筒に入れるなどして、埋めることです。平安時代に末法思想が流行し末法の世まで経典を残したいという理由と、お釈迦様の入滅後56億7千万年後に弥勒菩薩が弥勒仏となってこの世に出現して説法してくださるときに埋納した経巻が出現すると信じられていたこと等の理由から埋経が行われるようになりました。
鞍馬山を取り巻くように築かれた経塚には、お寺を守る役割があったのではないかとする説もあるそうです。

朝9時に山門を出発し全行程、平面距離にして約12キロ、上り下りを加えると。18キロ近くを丸1日かけて歩きます。お寺の参道であったり、自動車の通る鞍馬街道だったり、道なき道をよじ登るようなところもあり、ハイキングコースになっている歩きやすいところもあり、一歩間違えば、かなり危険なことになりそうなところもあり、様々な道を歩きます。今年は鞍馬の方々のご尽力で、新しい道が開拓され、ずいぶんと時間的体力的に楽になりました。

朝から快晴のとても良いお天気で、朝は寒いくらいの気温でした。日差しと共に少しずつ気温が上がって、頑張って歩くと汗ばみますが、少し立ち止まって休憩していると、とてもさわやかな、ひんやりとした空気の流れが感じられました。山の中を歩いていると、木漏れ日が緑色に染まっている気がして、ふと上を見上げると、真っ青な空に日の光を透かした若葉の緑が輝き、美しいことこの上ありませんでした。

帰ってきて、少し足は痛みますが、心地よい疲れを味わうことができる、とてもステキな一日になりました。

赤ちゃんパワー

2012/05/12

5月10日夕方、テレビのニュース番組で、赤ちゃん先生というタイトルのニュースが流れていました。不登校になってしまった高校生が通っている場所に、赤ちゃんが訪れるというものでした。高校生たちは、ぎこちない仕方で赤ちゃんをだっこしたり、あやしたりしていました。ふれあいが終わってから感想を聞かれた高校生は「めっちゃかわいい!」「また来て欲しい!」と満面の笑顔で応えていました。赤ちゃんとふれあうことを通して、感じること、学ぶことが多いのではないかということから行われた試みだったようです。赤ちゃんが高齢者の施設を訪れるケースも紹介されていましたが、赤ちゃんに接したお年寄りは一様に笑顔になっておられたようです。

赤ちゃんですから、もちろんお母さんがいらっしゃるわけですし、お母さんは大変ではないのだろうかと思っていたところ、お母さんの視点から見たこのとりくみも紹介されていました。私はさぞかしボランティア精神旺盛なお母さんで、そういう意識で活動していらっしゃるのだと思い込んでいました。ところが、お母さんも「こういう機会に外出することで、気分転換になってうれしい。それまでは子どもが泣いたらどうしようと思って電車に乗るのが怖かった。」「外出できなかった。」とおっしゃっていたのに少し驚きました。子どもを連れての外出がそれほど負担に思う人もいるのだということです。確かに片手に子どもをだっこして荷物をいっぱい持って大変そうなお母さんを町で見かけることはよくあります。周りの人も助けてはくれるとは思うのですが、それは負担なのでしょうか。子育て中のお母さんにも子どもにも負担が少ない社会であると良いなと思います。
また、お母さんは「赤ちゃんとふれあうことで、お年寄りが心を開いたり、高校生が笑顔を見せてくれるのが、うれしい。」ともおっしゃっていました。まさに赤ちゃんパワーです。
こういったとりくみが、赤ちゃんを育てるお母さんにも孤独感から解放される機会となっているのですね。

赤ちゃんがかわいく見えるのは、赤ちゃんの戦略だそうです。大人が世話をしたくなるように、かわいくできているのです。赤ちゃんには大人にはない能力がたくさんあるのです。もしかしたら、人の心を開く力も持っているのかもしれませんね。

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