園長ブログ

ある朝

2011/12/19

ある日の朝、その日は早めに出かけていろいろな手続きをする予定だったので、開園前から園に行って書類を作っていました。7時半の開演時間になってIちゃんが登園してきました。「おはようございます」と挨拶を交わしたあと仕事の続きをしていると、朝のご用意を済ませたIちゃんが私のところへやってきて「園長先生遊ぼうよ!」と誘ってくれます。「今、遊ぶと出かけるのが遅くなってしまう…」一瞬そんな思いが頭をよぎります。早番の保育士がいるはずなので、「先生と遊べば?」というと「だめ、園長先生と遊ぶの!」とIちゃん。まだ他に登園してきている子もいなく、ご指名とあれば遊ばないわけにはいきません。乳児クラスのおままごとコーナーでのままごとにおつきあいすることにしました。Iちゃんがお母さん役で、私はお父さん役らしく、「お父さんは赤ちゃんを着替えさせてミルクを飲ませてください」とIちゃんお母さん。私が布団に寝ていた赤ちゃんのお人形を着替えさせているあいだにIちゃんお母さんは手際よくごはんを作っています。「この服はどうやって着せるの」と聞くと、またまた手際よく留めにくいボタンを留めてくれます。「ミルクはこれを飲ませてください」とほ乳瓶をわたされました。ミルクを飲ませてお父さんの仕事はひととおり終わったようだったので、「お父さんはお仕事に行く時間なので、行ってきます。」というとIお母さんは「行ってらっしゃい」と機嫌良く送り出してくれました。「しめしめこれで仕事にもどれる」などと良からぬ考えを起こして、書類に向かいましたが、しばらくするとIちゃんお母さんが、「もう!帰ってくるのが遅すぎます。」と迎えに来ました。Iちゃんお母さんと一緒におままごとの家に帰ると、今度は赤ちゃんを着替えさせてミルクを飲ませ、寝かせる仕事が待っていました。Iちゃんお母さんは相変わらず手際よく料理をしています。

「こうして15分か20分くらい遊ぶことで、出かけるのが遅くなっても、どうということはないなー!それよりも今、Iちゃんと遊んだ方が楽しいかも…」赤ちゃんのお人形を着替えさせながら、そんなことを考えました。そう思って遊んでみると楽しいものです。Iちゃんは、赤ちゃんの洋服のボタンがひとつ留まっていないなど細かなところまで気をつけてよく考えていることがわかりますし、彼女の中では、このままごとがかなりのリアリティーを持って進行していると想像できて、楽しい発見がありました。

ついつい目の前の仕事、それもそんなに重要でもないことにとらわれて、そればかりを見てしまいがちですが、視点を変えるともっと大切で楽しいことがいっぱいあるものです。

そうしているうちに登園してきたSくんがご用意を済ませてやってきました。そろそろ大人の出る幕は終了だと思ったので、「お父さんはお仕事があるので、会社に行ってお仕事をしてきます。」と言ってその場を離れました。子どもどうしで遊び始めたようで、Iちゃんお母さんが迎えに来ることはありませんでした。

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