園長ブログ

一緒に食べる

2011/12/17

食事を共にする「共食」の関係が家族の基本ですが、今では家庭でいろいろな人が共に食事をすることが大変難しくなってきています。核家族化で、家族の構成人数が少ないうえに、生活サイクルが異なるなどして、ますます大勢が一緒に食事をする機会が少なくなっています。大勢の家族が共に食事をするとき、赤ちゃんは大人のこともよく見ていますし、いろいろな人の間で交わされる会話を聞き、動作を見て学んでゆきますが、一番よく見て真似をするのが自分と発達の近い子どもです。ところが、少子化の現代では家庭に一緒に食事をする子どもがいなかったり、いてもとても少ないのです。お兄ちゃんお姉ちゃんがいれば、赤ちゃんはその姿を見て真似をします。お兄ちゃんお姉ちゃんは小さな子の面倒を見たり、教えたりします。子どもどうしの関わりの中で育ってゆくのです。

こんな時代だからこそ、子どもがたくさんいる保育園などが大切な役割を持ってきます。たくさんの子どもが一緒に食事をするとお互いにモデルになったり、真似をし合うことができるのです。例えば、食べたことのないものや、あまり好きではないものが、お皿にのっていたとします。大人に食べなさいと言われて口に入れられても、はき出してしまうか、食べたとしてもおいしいとは感じません。ところが、他の子がおいしそうに食べているところを見ていると「ちょっと食べてみようかな」という気持ちになります。そこで、少し口に入れてみると案外食べられる。少しでも食べられると嬉しいので、もう少し食べてみようかと思って、徐々に食べられるようになる。ということがあります。

苦い味や酸っぱい味も、周りの人がおいしそうに口にするのを見たり、おいしいと言っているのを聞いたりしているうちに、興味を持って口にしてみる。そして少しずつ食べられるようになってゆき、おいしいと感じるようになるのです。

そんな子どもどうしの関係性を大切にして、子どもどうしで育ち合える環境を作ってゆくことが保育園の大きな役割だと思います。

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