園長ブログ

共に食べる

2011/12/16

赤ちゃんは、いろいろな人と一緒に食事をすることで、いろいろなものが食べられるようになり、おいしいと感じるようになってきます。昔は大家族で、いろいろな人と食事をすることが普通だったのですが、現代は家族の構成人数が少ない上に、それぞれの生活サイクルが異なったりして、家族みんなで食事をすることが少なくなってきました。「個食」ということが言われ出したのが1990年代だそうです。そのころから家族がバラバラに食事をすることが問題視されていました。今では様々な「コショク」があり、「個食」は、家族が一緒に食卓を囲んでいてもそれぞれ自分の好きな物を食べるという意味になっているようです。他には、家族がいなくて、ひとりで食べる孤独な「孤食」、自分の好きな決まった物しか食べない「固食」、いつも食欲がなく、食べる量も少ない「小食」、ダイエットのために減らすこともあるそうです。パンなどの粉製品を主食として好んで食べる「粉食」、味の濃い物を好んで食べる「濃食」などです。食育と言われながらも、子どもの食を取り巻く状況はますます悪化しているようです。

いろいろな人と一緒に食卓を囲むことがいろいろな意味で大切でそれが家族のはずなのに、食から見る限り家族が家族ではなくなっています。そもそも家族って何でしょう。大昔、人間が狩猟生活をしていた頃、捕ってきた獲物を分け合って食べたのが家族の起源だと言われています。食物分配の単位というのが家族が成立した意味なのです。そう考えると食事を共にしない現代の状況は、本当に家族と言えるのでしょうか。また、人間を他の動物と区別するときに、火を使うこと、ことばを使うことなどがあげられます。食べることに関して言えば、上にあげたように共に食事をすること「共食」があり、もう一つは「料理をすること」です。住居を共にし、材料を料理をして一緒に食べるのが人間が家族でいることの大きな意味のひとつなのです。

家族がみんなで料理をして食卓を囲む、そんな基本的なことくらいはできる生活のあり方を、働き方を含めて考える必要があると思います。

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