園長ブログ

じりつ 2

2013/04/17

自立とは、全く依存しないことではありません。しがらみを切ることが自立だと勘違いして、まわりとのつながりをどんどん絶ってゆくと、誰にも依存していないように見えるかもしれないが、それは自立ではなく孤立です。そもそも、人間が自分ひとりだけの力で生きてゆけるはずがありません。いろいろなものやヒトに依存してというより、助け助けられることが必要なはずです。

小児科医 熊谷晋一郎氏はご自身が脳性麻痺のために車いすの生活をされています。インタビュー記事が東京都人権啓発センターのホームページにありました。

地震でエレベーターが止まり、逃げ遅れた体験からこんなことをおっしゃっています。一部引用します。

“障害者”というのは、「依存先が限られてしまっている人たち」のこと。健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だと勘違いされている。けれども真実は逆で、健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”というのはまさにそういうことなのです。世の中のほとんどのものが健常者向けにデザインされていて、その便利さに依存していることを忘れているわけです。実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、“自立”といわれる状態なのだろうと思います。

大変興味深く読ませていただきました。

当園の「子ども像」に、自分で考え、自分で決定し、自ら行動するというのがありますが、決して他とのつながりを切り捨てることを目指しているのではありません。子どもが、自分のできる事とできない事をちゃんとわかっていて、できる事は自分でするが、できない事は誰かに頼むことができるのが自立だと言われています。自立の前提には、自分のことをわかる自己認識が必要なのです。これは、子どもに限ったことではないと思います。

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