2012年 11月

非日常 6

2012/11/02

病院では、入院中の患者さんが快適に入院生活を送り治療に専念できるように看護師さんは、担当の患者さんのところを回るたびに、患者さんの病状をチェックすると同時にいろいろな要望を聞き、その都度丁寧にそのニーズに応えていらっしゃいました。引き継ぎや情報共有がしっかりできているのでしょう。他の看護師さんもちゃんとそれに対応してくださいます。例えば、私が前日に明日10時に外出したいと許可を申請すると、治療に問題がなければ、朝の点滴の開始時刻を少し早めるように配慮してくださいます。そしてその情報がちゃんと引きつがれ、早い時間に点滴を開始してくださいました。もちろん、名前など同じことを何度も聞かれることもあります。しかしそれは、間違いを少なくするための仕組みなのだと思います。

入院中、看護師さんには本当に良くしていただきました。看護師さんも漢字は違いますが「看護(みまもる)」ひとです。患者さんが自分の力で治癒してゆくために、必要なところは助け看護(みまも)ってくださいます。最終的には病は、その人が、その人の心と体が自分の力で治してゆくのです。

保育も同じだと思います。子どもが自ら育ってゆくのです。子どもの自ら育ってゆく力を信じて見守ることが必要です。看護師は英語で“nurse”ですが、保育士も“nurse”と訳されることがあります。“child care person”とも訳されます。

もともと“nurse”はラテン語が語源だそうですが、現在使われている「病人を看護する」というよりも、「子どもを養育する」という意味で使われることが多かったようです。英語の“nurture”(育てる、養育する、促進する、助長する)という語も同じ系列の語です。

看護師さんが患者さんを看護(みまもる)ように、保育者も子どもを見守(みまもる)のですね。ことばが共通するように、役割にも共通性があるのだと思います。

保育者は子どもが自ら育つことを促すことがその主な仕事なのです。病気になった人が自分の治癒力で治ってゆくことを看護ると同様、保育者は子どもが自ら育つことを信じて見守る必要があるのです。そのことを忘れることなく、さらなる向上を目指して仕組みを見直し、改善点があれば、どんどん良くしてゆきたいと思います。

見る 3(10月25日分)

2012/11/01

私たちは視覚を使って様々なものを見ますが、実は顔を見ることは他のものを見ることでは、情報処理のしくみがずいぶん違うようです。普通、目から入った情報は主に脳の視覚野というところで処理されるのですが、顔の情報は脳の紡錘状回という部分で処理し、上側頭溝という部分で他者の視線に関する情報を処理しているといわれています。自閉症の人の中には紡錘状回の反応が弱い人がいるそうです。表情が読むのが苦手といわれるのはこんなところにも原因があるのかもしれません。

それにしても、私たち人間にとって顔を見ることは、他のものを見ることとはずいぶんと意味合いが違うようです。それは、社会を構成するためには他者の顔や表情を手がかりとして、他者の心を読む必要があったからではないでしょうか。社会のなかで生きてゆくために必要な能力は、私たちのあらゆるところに備わっているのです。そして赤ちゃんはそれらを自ら発達させるようになっているのです。私たち保育者には、赤ちゃんが思う存分発達できるような環境を整え、見守る義務があるのです。

顔情報の脳での処理方法は他の物を見たときと異なるということは、もともとそうなのでしょうか。それとも赤ちゃんのうちから顔を見ることが多いので、学習効果によってそうなるのでしょうか。そんなことを実験した人がいるそうです。結果は顔以外のものでも、集中的に学習すれば、顔を認識するのとおなじ脳の部分が活動するそうです。

実験は、似ているけれども少しずつ形の違う、顔には見えない形の4種類の人工物を使い、ひとつずつに名前をつけて、名前と形を覚えるようにします。そうして名前をつけて覚えたものを見たときは、顔を認識するのと同じような認識の仕方をするそうです。ブリーダーが自分の育てている動物を見たり、バードウォッチャーが鳥を見るようなときも同じです。ここでは、名前をつけるなど愛情、愛着を持って関わることがポイントだそうです。人間でなくても、生き物でなくても、愛情を持って接するものについては、脳は顔と同じような認識の仕方をするのです。

非日常 5

2012/11/01

病院の治療計画や看護計画は、そこに関わるスタッフ全員が熟知していないと治療どころか患者さんのいのちに関わります。その計画を立てるためにも、患者さんの今の状況を把握する必要があります。そのために、いつも細かく、容体を把握しなくてはなりません。看護師さんは何度も体温、血圧、その他様々なことを細かく調べて記録していらっしゃいました。

全ての患者さんに対してなのだから大変だなと思いましたが、今は、病院もIT化されています。ナースステーションにはパソコンがずらり、点滴を交換するときも、患者さんの腕につけられたバーコードと点滴薬のバーコードを小さな端末で読むだけで、どの看護師さんが、いつどの患者さんの点滴薬を交換したのかが瞬時に記録され、サーバーに記録され、カルテに反映されるそうです。体温や血圧などの情報もその端末から入力していらっしゃいました。もしその記録を訂正したら、訂正したことも記録されると看護師さんはおっしゃっていました。医療過誤を防ぐ工夫がされています。

診察の時も、お医者様が、ついさっき撮影したCTの画像を診察室のモニターで見ながら、説明してくださいましたし、エコーの画像も見せて詳しく説明してくださいました。

技術の進歩により、様々なことが詳しく細かくわかり、症状の把握や治療に役立ったり、医療過誤の防止につながります。こういった技術の進歩をうまく活かしながら、かつデータだけではなく、ひとりの患者さんを頭の先から足の先までそして心までも、ひとりの人間として全体でとらえて治療も含めたケアが大切なのだと思います。

そのためにも、ケアする人たちがしっかりとチームを作り、情報共有する必要性があるのですね。

スクロール