2011年 10月

森へ

2011/10/04

いよいよ森へ出発です。黄金色の稲穂が、少しひんやりとした風にそよぐ畦道を歩いて森の入口へ向かいます。先頭の子は走るくらいの勢いでどんどん先に行って見えなくなりました。どこまで行ってしまったのだろうと思っていたのですが、ちゃんと森の入口で待っていてくれました。見学者がそろうまでには少し時間がかかったので、子どもたちは先に森に入ることになりました。一緒に出発すると、子どもたちが見学者の方に気を取られてしまって、しっかりと森を感じられなくなるから、子どもたちを先に森に入れる。という佐藤さんのご配慮です。

しばらく歩くと、粘土質の土がむき出しになっている斜面があり、子どもたちは登ったり降りたりして遊んでいます。長い急斜面をすべり台のように滑り降りたり、短い斜面を駆け上がったり子どもたちは服が汚れるのなんて気にせず自由に楽しんでいます。「子どもにやらせて大人が見ているだけではなく、大人も一緒にやらなきゃ!」という佐藤さんの声がけに見学者も斜面のぼりに挑戦して楽しみました。

そこを離れて林道を少し進むと、クマザサと雑木の間をぬって斜面を登るコースに行きました。木につかまらないと登れないところもある斜面です。「冬は雪がたくさん積もるので、この斜面をみんなで滑り降りるんです。」と園長先生が楽しそうにおっしゃっていました。想像しただけで楽しくなります。

私たちの近くで最近入園したばかりというの3歳児の女の子が、一人で懸命に坂を登っています。園長先生は、「ガンバレ!」ではなく、「ゆっくりで大丈夫だからね。ゆっくりでいいんだよ。」とやさしく声をかけていらっしゃいました。「○○ちゃんガンバレ!」私ならそういってしまいそうですが、その子は自分の力をめいっぱい使って斜面を登っているのです。そこに追い打ちをかけるように「ガンバレ!」といわれても、それ以上頑張りようがありませんし、辛くなるだけです。それよりも、その子の今をそのまま認め、それでいいんだよと安心できることばがけや、先生が後ろにいてくれるという安心感を持てるようにしてあげた方が、子ども自身の力が湧いてくるのだろう。そんなことを思いながら、クマザサをよけてゆっくりと歩みをすすめました。

美味しかったね!

2011/10/04

今日は、給食の時にあった、かわいいエピソードをお届けします!
給食が肉じゃがだったある日。Aくんが全部食べ終わって「おかわりしてくるわ!」と言い、おかわりをしに行きました。おかわりは自分で入れる事になっています。そしておたまを持って、よそいながら「もうすぐごちそうさまやしこれだけにしようと!」と一言。それを見ていた私は「ん!?まだ時間あるのになぁ」と思いつつもそのまま見ていました。ニコニコ笑いながら帰ってくるAくん。ふとお皿を見ると、なんと肉じゃがのお肉だけがたくさん入っていたんです!どうも大好きなお肉だけをおかわりしたかったようで、その為に考えた作戦が「時間」だったようです。その姿がとてもかわいく、「おもしろいなぁ」と思い、近くにいた保育士にも説明し、「かわいいなぁ」とニコニコしながら見ていました。もちろんAくんは「美味しいなぁ」ととっても嬉しそうに言いながら美味しそうに食べていましたよ!
美味しかったねo(^-^)o

森の保育園

2011/10/03

「森の保育園」という活動を展開されている保育園の園長先生から、公開保育をするので見に来ませんかと誘っていただいたので、男性保育士とはるばる秋田県まで行ってきました。この公開保育を行われた秋田チャイルド園は、子どもたち一人ひとりがより良く成長してゆくためには何をすべきかを第一に考え、子どもが主体的に活動することを中心とした保育、異年齢保育など当園と似た考え方で保育を行っていらっしゃる保育園です。

初日はまず「森の保育園」活動を見学です。北は仙台から南は沖縄まで、全国各地から集まった保育関係者約30名をバスで空港まで迎えに来てくださり、「森の保育園」活動が行われる森へ向かいました。この「森の保育園」は秋田チャイルド園の3歳児4歳児5歳児約70名が2グループに分かれ、毎月交代で森に入るという形で行われています。1人の子どもは2ヶ月に1回の割合で森を経験します。ですから、子どもたちにとっては日常ではなく待ち遠しい行事なのだろうと想像します。

活動の場となっている森は、十代以上にわたって農業林業を営んでいらっしゃる佐藤清太郎さんという方が、森林を活用して心身のリフレッシュを図ったり、森を歩くことでリハビリテーションが出来ないものかと考え「秋田森の会・風のハーモニー」という会を設立、ご自身の所有されている山林の一部を開放して活動されているところです。

出発地点となっている、佐藤さんのご自宅前広場に到着。秋田チャイルド園の子どもたちもちょうど到着したばかりでした。そこで、見学者は森に入る前に佐藤さんから注意事項を聞きました。1つ目は「森には、ハチもいますし熊もいます。ハチには自分で気をつけてください。刺されたときはあきらめてください。また、熊にあったら自分の力で逃げてください。助けることはできません。もし、森に入りたいならそれを覚悟した上でどうぞ。それがいやな方は森には入らないでください。」です。森に入るなら、誰かが助けてくれるだろうという無責任な考えは捨てて、自分の身は自分で守る覚悟が必要だということでしょう。また、森は様々な動物のテリトリーで、そこに人間が入らせていただくという感覚を忘れるなということだと思います。ドキッとしました。わたしもよく山に入りますが、その感覚を忘れかかっていたように思います。

それよりもっと衝撃的だったのは、「森では、子どもたちにそれをしてはダメと禁止をしたり、こうしなさいと指示、命令はしないでください。」ということばでした。これはいつも私が考えていることと同じで、そのことを保育を専門とされているのではない、森林のプロフェッショナルから聞いたことで、ショックを伴って心に響いてきました。

森はやさしくもあり、厳しくもあります。その中で活動する力は、子ども自身が自分で身につける必要があります。自分のできる範囲をわきまえる。危険を感じて回避する。そして、自分の興味に応じて楽しむ。これはいくら大人が頑張ってもしてあげられるわけではなく、子ども自身が身につけ、自立をしていないとできないことです。ですから、子どもの自立を妨げる、禁止や命令は、かえって子どもの力を奪ってしまうのです。それは森の中ではいのちを危険にさらすことにつながりかねないのです。

そんなうれしいショックを感じながら、森へ出発しました。

スリランカ舞踊鑑賞会

2011/10/03

今年もスリランカ日本教育文化センター関係の方々が来てくださいました。
一日目の舞踊鑑賞会では、衣装や独特な踊りに子ども達は目を点にしてジーッと見入ってました。
中には音楽にあわせて身体中でリズムをとっている乳児ちゃんもいたり…
子ども一人一人いろんな感じ方で楽しんでいる姿がありました。
今年はスリランカで幼稚園の先生をしている方々が来てくださったので、2日目は保育園で子ども達と交流もしてくださいました。
朝のお参りのあと、スリランカの踊りを少し教えてもらいました。
いろんなステップを教えてもらっているうちに、子ども達は先生方との距離も段々と近づいて、最後には身を乗り出して一緒にダンスしてました。
言葉は通じなくても、そんなのおかまいなしで、バーンと心を開いてスリランカの先生方と楽しく遊んでいる姿を見て、ちょっとうらやましく思えた半日でした。

コロッケ

2011/10/02

給食のおかずにコロッケが出ました。当園は規模が小さいので、常勤の調理員が一人しかいません。彼女はいつも1人で70食ほどの昼食を作っています。ですから、手の込んだメニューや揚げ物などの手間暇のかかるメニューは非常勤の職員が出勤するときに取り入れています。

少しでも業務省力化とメニューを増やす目的で、今年度初めにスチームコンベクションオーブンを導入しました、それ以来調理員はいろいろなメニューに挑戦しています。蒸す、焼く、煮るというスチームコンベクションオーブンで作りやすい料理にはどんどん使っていますし、煮込むものや揚げ物も工夫しています。以前、職員のブログにあったように、非常勤調理員と協力しあってだしを取った後の昆布を甘辛く煮込んでおいしい昆布の甘煮を作っていました。

新しいメニューに挑戦するには時間の余裕が必要なので子どもの数が比較的少ない土曜日にやってみることが多いようです。昨日もレシピを自分で考えたコロッケに挑戦していました。スチームコンベクションオーブンで揚げ物を作ると、どうしてもおいしそうなきつね色にはなりにくいのですが、できたてを試食したら外はサクサク中はふんわり、きつね色とはいかないまでも焦げ目もついています。味も、調味料を後からかけなくてもすむようにと考えて少し濃いめにしてあります。とてもおいしくできていました。

いよいよ昼食の時間、子どもたちの反応が気になるのか、調理員は窓越しに様子をうかがっていましたが、子どもたちはみんな「おいしい!おいしい!」といってたくさん食べていました。

きっとおいしかったのでしょう、私と同じテーブルに座っていた子ども達がコロッケの中身はなんだろうと、言い始めました。そこで、「みんなで調べて、後から給食の先生に正解かどうか聞いてみれば。」と声をかけると、みんなでじっくり見たり、味わったり、なかにはにおいをかいだりといろいろと調べ、「ジャガイモ、ニンジン、ピーマン、これはお肉かな?シーチキンかな?あっ!タマネギも入ってる。」とさかんに言い合っていました。ごちそうさまを済ませて、調理員に聞きに行ってみると子どもたちの答えはほぼ正解。よくわかったな。と感心していると、「何で味付けをしたでしょう?」と調理員、そこまではわからないでしょうと思っていると、子どもは「塩、醤油」と答えていました。知っている調味料の名前を言ってみただけかもしれませんが、両方とも正解。その他にはウスターソースも入っていたようです。

調理員が、食材を活かし子どもたちにできるだけおいしい食べさせてあげたいと努力し、子どもたちがおいしく食べ、食材に興味を持つ。子どもも調理員もそして食材も、みんなのいのちが輝いていると感じました。

保育見学

2011/10/01

スリランカの舞踊を通してより近くなれたところで、スリランカの皆様には2グループに分かれて保育に参加していただきました。その日の保育は、2歳と3歳が室内でリズム遊び、4歳と5歳が向かいの山へ散歩です。

向かいの山は薬王坂、薬王峠と呼ばれる山越えの道があります。その昔、伝教大師最澄がこの坂を越えて比叡山に向かわれ、その際に薬師如来を刻まれたとか、山を越えてゆかれる伝教大師様の後ろ姿が薬師如来のようだったとかいわれていることからこの名がついたそうです。この峠を越えると静原というところで、昔は鞍馬静原間の行き来はこの峠を通っていました。現在ではトレッキングコースの一部となっていて、トレッキングを楽しむ人がよく歩いています。

どっちの道から行こうか・・・

子どもたちは、山の中腹にお祀りしてあるお地蔵様にお参りをしようといって、出発しました。山道はところどころ石がごろごろしているので、決して歩きやすいというわけではありません。子どもたちは慣れたもので、早い子はどんどん登ってゆきます。ゆっくり歩く子は道ばたの蜘蛛の巣に見入ったり、ドングリを拾ったりしながら歩きます。途中で先頭が止まって待っているのでどうするのかと思ったら、木につかまりながらでないと登れなかったり、枝をくぐったりする道なき道コースで行くのか、普通の道で行くのかを相談して決めようということでした。子どもたちは道なき道コースを選びました。チャンダシリ師の履き物がしっかりしたものではなかったので心配になり、普通の道で行きますかと尋ねると、子どもたちと一緒に行きたいおっしゃってくださり、まるで登山のような散歩に同行してくださいました。歩きながらも子どもたちの姿にしきりに感心していらっしゃったので、スリランカでは山に入ったりすることはないのかと聞くと、コブラがいて危ないからできないとのことでした。

やわらかいね!

山腹のお地蔵様までたどり着き、お参りを済ませて近くでそれぞれに遊びました。苔の感触を楽しむ子、倒木の皮をはいで中になにかいないか探す子、きのこを見つけている子、子どもたちは何かしら自分で遊びを見つけて様々に楽しんでいます。やはり自然の中では子どもたちはいきいきとします。

真っ青な空からは柔らかくなった秋の光が降り注いでやさしい木漏れ日を作り、涼しくさわやかな風が通り過ぎ、自分自身も優しい気持ちになれました。帰り道、普段はおとなしくてあまり話さない女の子が、ひっきりなしに私に話しかけてきます。山は人の心を開くのかもしれません。

スリランカの皆さんは、まさかこんな散歩だとは思っていらっしゃらなかったので、さぞかし驚かれたのではないかと思いますが、園に帰ってチャンダシリ師に感想を伺うと、とても良かった、すばらしかったと繰り返していらっしゃいました。なにか感じていただけるところがあったのだと思います。

スタンピングあそびを通して

2011/10/01

夏の終わり頃、2、3歳児クラス一緒にスタンピング遊び同じ部屋でする事にしました。
2歳児は、秋に向けて散歩にいっぱい出かけてドングリ拾いなど秋見つけしたいので、担任が手作りで作った肩からかけられるカバンに子どもが蓮根でスタンピングする事に…

3歳児は、自分達がせっせと水やりして育ててきたオクラが立派に大きく育ったので、そのオクラを使って運動会に着るTシャツにスタンピングする事に…

それぞれの思いの込められたものに絵の具でペったんと押していきました。上の子と同じ部屋で一緒にする事により、それぞれの目的は違っても下の子は上の子の刺激を受け、また上の子も下の子のしてるのを気にかけて見たり自然と横の繋がりがもてたように思います。

その後、出来上がってからも園庭で二人乗り用三輪車に上の子の声かけで間に乗って押してもらったり、水たまりのできているところで上の子が裸足になり足を弾ませてるのを見て、下の子も裸足になって水たまりの上を小走りしていて、とても楽しそうに遊んでいる姿があり、これからもこういう機会を大切にしていきたいと思いました。

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