園長ブログ

見えないつながり

2012/03/18

日本の希少淡水魚の現状を少し知って、無秩序放流、密放流など、人間の行動が原因となって起こっている問題が多い、というより、ほとんどが人間の行動に起因することに気付かされました。

釣りを楽しみたいために他の魚を食べる外来魚を放流してしまう。漁業目的でアユなどを他の地域に放流してしまう。善意ではあるけれども、産地のわからない魚を無秩序に放流してしまう。そういったことによって、起こっている問題がたくさんあるのです。この魚を今この水域に放流するとどうなるのか。それを知らずに、それを考えずに、考えようとせずに、そんな視点に気付くことなく、安易に放流してしまう。そんな私たち人間の無知が問題を引き起こしているのですね。しかし、人間がわかる範囲は限られているので、全てのことがわかるわけではありません。

全てのことには原因があり、様々な要因が作用して結果が生まれます。全てのものやことがお互いに直接的な原因や間接的な要因になり結果が生まれ、またそれが原因になるなど相互に関連しています。いいかえれば、見えないところでみんなつながっているのです。先に紹介した食べる、食べられる、食害などは比較的わかりやすいと思いますが、次のような例は何がどう関連するかわかりにくいと思います。展示から紹介します。

その問題は「競争」です。私たちの身の回りの自然は、同じ生息場所において「争い」が生じた場合、何十万年何百万年という長い年月をかけて、繁殖時期や餌、住む場所を変えることで問題を解決し共存してきました。しかし、無秩序な放流により、日本の水辺には思いもよらないやっかいな「競争」が数多く発生しています。生息場所や餌をめぐる競争、繁殖をめぐる競争などがあるそうですが、生き物の競争はどちらか一方が衰退するまで続くので、競争に敗れた方が絶滅してしまうこともあるというものです。

人間が環境に与える影響の大きさを認識しておく必要がありそうです。

パネルにはこんなことばが書かれていました。
「生態系を破壊しているのは私たちではなく、勝手に私たちを連れてきた人間じゃないの?」オオクチバスやブルーギルはそう嘆いているかもしれません。
「私たちに競争を押し付けているのは誰」そんな声がメダカやタナゴから聞こえてきそうです。

全てはわからなくても、みんなが繋がっていることを念頭に、同じ地球に生きる仲間のことを誠意をもって考える姿勢は必要なのだと思います。

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