園長ブログ

カボチャ

2011/12/13

先日、園に行くと男性保育士がテラスに包丁とまな板を持ち出して、一生懸命何かを切っています。食べることに目がない私は、気になって「何切ってるの」と見に行ってみました。切っていたのはカボチャでした。そういえば、2階の祭壇に長いあいだお供えしてあったし、園庭の靴箱の横にもごろごろ並んでいたのを思い出しました。収穫したのは9月の終わりか10月初め頃で、前回カボチャ餃子を作ったのが11月11日だったので、カボチャを収穫してから2ヶ月以上置いてあったことになります。少し心配になった私が「収穫してからずいぶん長い間お供えしていたみたいだけど、大丈夫?」と聞くと、保育士は、とても堅くて切るのが大変なくらいで全く問題ないと言います。確かに堅そうですし、中もとてもきれいな色をしています。カットされてスーパーの店頭に並んでいるカボチャがすぐに傷むイメージが強かったので、カボチャは傷みやすいとばかり思い込んでいたのですが、傷がついたりしなければ、長持ちするのです。それよりも、収穫して時間が経つ方がカボチャのデンプンが分解され糖に変わる糖化が進むので、甘くなるらしいのです。「冬至にカボチャを食べると風邪を引かない」というので、カボチャは冬の食べ物のイメージが強いのですが、実が成るのは夏の終わりから秋です。それをうまく保存しておけば、冬至の頃においしくなっているということなのですね。

どうして食べるのか気になったので聞いてみると、「薄く切ってホットプレートで焼くだけです。」と保育士。至ってシンプルです。どうなるのかと思いながらも、自分の仕事に戻りました。しばらくするととても甘く香ばしい香りが漂ってきます。書類どころではなくなって、思わずカボチャを見に行ってしまいました。とても良い香りだったので、バターで焼いているのかと思ったのですが全くの素焼きだそうです。ちょうど焼けたのがあったので一口食べてみました。香りがとても良く、それだけでおいしく感じます。薄く切ってあったにもかかわらず、ホクホク感もあります。なんといってもとても甘くて味が濃くおいしいのです。思わず「おいしい!」と叫んでしまいました。ただ切って焼いただけでこんなにおいしいなんて感激です。子どもたちもとても喜んで食べていました。

畑に植えたカボチャが、大きくなって実をつける。それを収穫していただく。畑や作物の知識はほとんど無いに等しい私たちが、あまり世話もせずにおいて、畑をジャングルにしたカボチャ。収穫してからも長い間放っておいたのに、こんなにおいしくいただけるなんて、なんて幸せなんでしょう。偶然いろいろな条件が重なったからだとは思いますが、もしかしたら案外自然に生えたかぼちゃが、なりたいように大きくなって実をつけたのが良いのかもしれません。「自然に育つカを信じてあまり手を出しすぎない方が良い。」カボチャがそう教えてくれたように感じました。

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