園長ブログ

お彼岸

2011/09/21

秋のお彼岸の入りとなりました。春分、秋分の日とその前後3日をあわせた7日間をお彼岸といい。彼岸会が行われ、お墓参りなどご先祖様の供養をするということが一般的です。

彼岸とは、悟りの世界を言います。生死を繰り返す迷いの世界である此岸、こちら側の岸に対して、向こう岸、つまり悟りの世界ということです。梵語のパーラミターの訳語で、正確には到彼岸と訳し、迷いの此岸から悟りの彼岸に到ることをいいます。つまり、日本独特の彼岸会は彼岸に到る法会という意味です。

彼岸の中日、春分の日や秋分の日には太陽が真東から昇って真西に沈むので、太陽が沈む真西、その先には阿弥陀仏がいらっしゃる極楽浄土があり、悟りを開くことが容易な極楽浄土を彼岸とするなら、春分秋分の日の夕日は極楽浄土への道を指し示すと考えられるのです。この極楽浄土への往生を願うことに、彼岸会の起源があるとも言われています。

お彼岸については様々な説明があります。春分秋分の日は昼の長さと夜の長さが同じであり、昼にも夜にも偏らないことから、仏教で大切にする「中道」つまり両極端を離れることで得られる中正な道を表していると考えられた。また、春には種をまいたり苗を植えて五穀豊穣を祈り、秋には収穫に感謝するという農耕儀礼に関係している。などです。

鞍馬寺ではお彼岸には酬徳会(しゅうとくえ)というご先祖様に感謝を捧げる法要が修されます。酬徳とは徳に酬いるという意味で、ご先祖様の徳に酬いるということです。

私たちが、今ここにこうしているのはご先祖様がいらしたからこそです。そのご先祖様に感謝を捧げ、徳に酬いるためには、私たちは何をすれば良いのでしょう。その答えの一つは「私たち自身がよりよく生きる」ということです。「より良く、というけれど何が良い生き方なの。」と自問自答することも含めてです。みんなが幸せになるためには、みんなのいのちが輝くためには、何をすれば良いのかを考え実践すること。そのことが、ご先祖様の徳に酬いるということではないでしょうか。

お彼岸の期間を、もう一度自分自身、自分の心を見つめ直す期間にしたいと思います。

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