園長ブログ

集中力

2013/08/04

写経をしているときは、集中していないとすぐに間違えてしまいます。「乗」が「乘」、「観」が「觀」、「即」が「卽」というように旧字がたくさん使われているので、文字を間違えることがありますし、ひどいときには途中からとなりの行に飛んでしまう事もあります。それはやはり他のことを考えてしまったりしているときにおこります、やはり、集中している必要があるのです。

もう一つ難しいのは、筆にどのくらいの朱を含ませるかです。写経会では動物性の膠を使った墨ではなく、朱を使って書写しますが、その朱を含ませる量をこまめに調整して書くと、同じ調子で書くことができて美しくなります。

もともと字が下手な私にはなかなか美しく仕上げることは難しいことですが、筆に含ませる朱の量をできるだけ一定に保ち、筆の先が紙の上を滑る感覚を意識する、筆の先に意識を集中すると間違いも少なく、一定の調子で書くことができて、ある程度美しく書写することができます。まず大切なのは集中力を切らさないことです。しかし、2時間以上集中力を保つのは難しいものです。

集中力といえば、子どもの集中力ほどすごいものはありません。子どもが自分の興味があることに取り組んでいるとき、それがその子にとっておもしろければおもしろいほど集中します。まわりで他の子が騒いでいても、少しぐらい声をかけても、見向きもせずに取り組んでいる姿が見られることがあります。それは、子どもが自分の興味を持なにかを見つけて、自ら取り組んでいるときによく見られる姿です。

なぜ、それほどまでに集中できるのでしょう。それは、子どもが選ぶことが、その子の今の発達に必要なことだからです。子どもは自分の発達にちょうど合ったものを選ぶ能力を持っています。それはその子にとって必要なことなのです。自分に必要なことを自分で選び取り、それを行うことで自ら発達してゆくのです。そして、発達は子どもによって少しずつ異なります。だからこそ、ひとり一人の子どもの発達に合う多様な環境が必要なのです。

集中して取り組んだ結果として満足感が得られ、それが自信や次への意欲につながってゆきます。

スクロール