園長ブログ

写経

2013/08/03

今年もお寺の行事、写経会の時期が巡ってきました。8月1日から3日までは、勤行と写経の日々です。一日中、板の間に正座しているので足が痛いこともありますが、写経会のことだけを考えて、写経会に関係することを一生懸命にするので、他のことを考える必要がありません。そういう意味では一つのことに集中できる環境は整っています。

よく、○○三昧といいますが、三昧とはサンスクリットのサマーディという語の音訳で、心を一つの対象に集中させて安定した精神状態。雑念を去って没入するという意味があります。

写経三昧というなら、写経に集中して心の状態が安定していたのかと問われると、100%自信を持って、そうだとは言えません。というより、写経をしていても睡魔が襲ってきたり、ついつい頭の中に他のことがいろいろと浮かんで来て、ぐるぐる回るのに心が引きずられたり、物音が気になったり、とても集中している状態とは言えませんでした。ですから、写経三昧ではありませんね。

余りにもいろいろなことが多すぎると、ついついいろいろなことを考えてしまいますが、あっちこっち考えると、かえって訳がわからなくなってしまいます。いろいろな問題があっても、今は何が一番大切なのか、それをしっかりと選んで、そのことに集中する。まさに心を一つの対象に集中させ安定した精神状態で取り組む必要があるのだと思います。そのことをやり切るまでは、そのことだけに集中して他のことは考えない方がよいのでしょう。

そして、一つのことをやりきってから次のことに移り、そしてまたそのことに集中すれば良いのですが、気になることが多すぎると、ついついいろいろなことが頭を駆け巡り、それに気を取られてしまいます。

写経をするときに、こんなことを試してみました。筆の先が紙の上を滑る感覚を想像しながら書くのです。もちろん筆の先は私の身体の一部ではありませんので、実際に筆が紙に触れる感覚というのは感じられるはずはないのですが、筆の毛先は自分の指の延長だと思いながら、書いてみたら少しは書くことに集中できたように思います。

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