園長ブログ

発達から見た「話し合うこと」〜おおむね5歳〜

2013/02/20

5歳児たちがみんなで話し合って、ひとつのことを決めていました。「話し合う」ということに直接関係しそうな事項を、保育所保育指針の文言から拾ってみましょう。

まず、発達の姿です。指針には「おおむね6か月未満 」から「おおむね6歳」まで発達過程を8つの区分で示しています。この区分は、「同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、一人一人の子どもの発達過程としてとらえるべきものである。」とあるように、おおむね3歳のところに書いてあることが3歳になっているのにできないからダメ!という評価の基準ではなく、子どもが育ってゆく道筋が示されているということです。

「おおむね5歳」の発達過程から、「話し合う」ことに直接関係しそうな部分を抜き出してみます。

「自分なりに考えて判断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。」(第2章 子どもの発達 2発達過程 (7)おおむね5歳 本文)

「異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力」を幼児期にはつけているはずなのに、大人になっているにもかかわらず、違った意見が認められなかったり、自分の意見だけを押し通そうとしている事があるのではないかと、自らをふり返ってみて、少し恥ずかしくなりました。

おおむね5歳の発達過程についての解説には次のようにあります。

「集団活動の中で、言葉による伝達や対話の必要性が増大し、仲間との話し合いを繰り返しながら自分の思いや考えを伝える力や相手の話を聞く力を身に付けていきます。主張のぶつかり合いやけんかが起きても、すぐに大人に頼らず、自分たちで解決しようとする姿が見られるようになります。」【目的のある集団活動】(解説)

大人の指示や命令など干渉する事が多すぎると、「自分たちで解決しようとする」発達を阻害することになります。5歳児たちが話し合っていたとき、担任は真横で見たり、自分も話し合いに入るようなことはせず、少し離れた机で自分の仕事をしていました。一見子どもだけ放置して、自分の仕事をしているかのように見えますが、実は、自分はここにいるからねと子どもに示して、子どもたちがどうしようもなくなって「助けて」と行った時には力を貸せるように待機していたのです。ですから耳はしっかりと子どもたちの会話に向けられています。

「自ら考えながら、自分の気持ちを分かりやすく表現したり、相手の気持ちを聞く力が育つことを通して、子どもは、次第に相手を許したり認めたりする社会生活に必要な基本的な力を身に付けるようになります。」【思考力の芽生え】 (解説)

お互いに認め合うこと、受けとめ合うことの大切さをこの時期に学び、そこを伸ばして大人になってゆくはずです。この観点から自分を見つめ直したいと思います。

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