自律 アーカイブ - 鞍馬山保育園

森から学ぶ

2011/10/07

秋田に行って森で様々なことを学び、考えました。

・森では子どもが自ら主体的に遊ぶこと
・子どもの今を受け止め、認め、信じて待つこと
・そのための子どもとの距離感や大人のスタンス
・自然と人間との関係

などなどです。

これらに共通するのは、「自立」と「自律」だと思います。子どもが自分で立って歩いてゆくために何が必要なのか。そのための大人の接し方はどうすればよいのか。

森では、子どもが自分の範囲をわきまえたうえで、自ら積極的に遊ぶ。そのために、大人は子どもに禁止や命令をしない。大人が禁止や命令ばかりしていたら、子どもは自分で判断しなくなります。それでは、「森の中では自分の身は自分で守る」という基本的な力を奪ってしまうことになり、それは危険を意味するのです。自分をわきまえ自分で判断する(自立)からこそ、これ以上は危険だからやめておこう。友だちが困るから我慢しよう(自律)とできるのです。

主体的に遊べる環境があれば、子どもは自分を発揮して、いきいきと遊び始めます。そんな子どもたちが「今、この瞬間を最も良く生きられる」ように、その子の今をまるごとしっかりと受け止め、認めることが大切です。目標値を設定して足りない部分にばかり注目し、そこを満たそうとする。いわば減点法の発想で大人が見ていては子どもは辛いだけですし、内側から湧き上がる子どもの力が発揮できません。這ってでも急斜面を登る力を自分から発揮し、やり遂げたときの達成感を感じた方が楽しいでしょう。ですから大人はある程度の距離感を持って子どもと接するのが良いのです。それには、「勇気」と「信じ切る」心の力が必要です。大人自身の自立と自律が求められるのです。

考えてみれば、これは森に限らず毎日の生活に通じることなのです。森は条件が厳しかったり、たくさんの楽しいことがあるので、必要なことが際だってくるのですが、上に述べたことは日常的に大切にすべきことなのです。

自然と人間の関係は、子どもに限らず、自然の一部である人間の「自立」と「自律」です。どうしても自然と人間という二項対立で物事を捉えがちで、森の中にトイレを作れば便利、階段をつければ坂が登りやすい。といった人間の都合だけで考えてしまいがちです。逆に森に合わせて、人間が自分を律するという考え方を持っている必要があると思います。

秋田の森でたくさんのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。

信じる

2011/09/13

最初から上手にできたり、練習してできるようになった子がスランプに陥ることがよくあります。今年もそんなことがありました。

運動会で跳び箱に挑戦したい人を募った中に運動が得意な子がいて、その子は少し練習しただけですぐに跳び越せるようになりました。しかし、軽いけがをしてしまいしばらく練習していなかったのです。けがもほぼ治りいざやってみると、前はあれほど簡単に跳べていた跳び箱が全く跳び越せなくなっているのです。勢いもあるしフォームもきれいなのですが、最後に手に重心をおいて体重移動するところができなくて、跳び越せないのです。

保育士は、離れたところから子どもたちを見ています。その子が跳び越せなくて、ちょこんと跳び箱の上に座ってしまうたびに、私は「こうした方がいいよ」と出そうになることばをぐっと飲み込みます。ちゃんとできているのに、最後のところでブレーキをかけてしまっているのがありありとわかるのです。それを見ているうちに、焦りが出てしまったのが私の間違いでした。よせば良いのに、その子に「この方が良いんじゃない?」と言ってしまったのです。

「このあいだまでできていたのにできなくなってる。なんで???どうしよう!?」と一番不安になっていたのはその子のはずなのに、それに追い打ちをかけるようなことをしてしまったので、その不安が堰を切って涙となってあふれ、それ以上できなくなってしまいました。

「見守ることが大切!」とあれほど言っているにもかかわらず自分自身それができていなかったことに気がつき、すぐにその子に謝りましたが、もう手遅れです。

あとは、その子が立ち直るのを信じて待つしかありません。

教えることより、その子の気持ちに寄り添い共感することが必要だったのに、「ああだよ」「こうだよ」「この方が良いんじゃない」と教えたくなってしまったのです。ことばにした方が良いのか、黙って見ている方が良いのかをよく考え、そのときその子に一番適当な方法を選ぶ必要があるのです。その前提は、子どもが自ら育つことを信じ、子ども主体で考えて、必要最小限のお手伝いをさせていただくというスタンスなのです。そんなことはわかっているはずなのに、できていなかったのです。頭でわかっているだけではなく、それを実践してゆくためには、焦りや、我欲に引きずられないよう、自分の心を律することが必要だということを改めて気付かされました。

翌日、その子は見事に立ち直り、運動会当日も軽々と跳び箱を跳び越していました。

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