園長ブログ

ムクノキ その後

2011/11/19

短くなってしまったムクノキ。離れたところから見ると、園庭に太い丸太を立てたように見えて格好は良くなかったのですが、8メートルくらいという高さにしてもらったのには私なりの意味があったのです。ちょうどそのあたりから幹が大きく二つに分かれており、その分かれたところを残しておけば、そこから新しい芽が出て再び葉が茂り枝が伸びるといいなと思ったのです。以前太い幹を切られたケヤキがそんなふうに切り口から芽を出し葉を茂らせているのを見たことがあったからです。

早く新しい芽が出ないかな、と思いながら頻繁に切り口を見ていましたが、全くその気配はありません。木を切ったのが11月、冬に向けて新しい芽は出そうにないので、きっと春になれば芽を吹くだろうと期待をしていました。しかし、桜が咲いても新緑の頃になっても一向に芽が出てくる気配はありません。夏には太陽がギラギラと照りつけ、去年までムクノキが作っていてくれた木陰のありがたさを思い知りました。1年以上待ちましたが、結局切り口から芽が出ることはありませんでした。そのかわり、その一段下の枝には、これでもかというくらいに葉が茂りました。今考えると、幹を切ったときに下の枝も少しだけ切っておけば、そこに木のエネルギーが集中することなく、幹の切り口から芽が出ていたのかもしれません。

自然は人間の思うようになんてならないものです。それぞれにいろいろな条件や理由があって、そうなっているのです。子どもだってそうです。大人の思うようにしようなどと考えると、思うようにならないからと、イライラしたり、ストレスに感じてしまうのです。第一そんなの子どもが楽しくありません。まずは「まあ、そんなものだな」と思って現実をそのまま受け止めることが大切です。お互いの幸せのためにも…

次の夏ごろ、元気に葉を茂らせていた一番下の枝のすぐ上からもう一度幹を切りました。切り落とされた幹は、子どもたちが遊ぶだろうと思って園庭にそのままにしておきました。新しいものには子どもたちはすぐに興味を示し、その上を歩いたりして遊んでいました。

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