園長ブログ

ことばをまなぶ 6

2013/09/05

母語の音を聞き分ける能力の発達する、母語に最適化するということを赤ちゃんが行っているということを知りました。人間だけが使うことのできる言語というツールを獲得してゆく過程を知ることはとてもエキサイティングです。

しかし、赤ちゃんはひとりで発達してゆくわけではありません。お母さんをはじめとした周囲の人や物、空間といった環境と関わることがあってはじめて発達が促されるのです。特に言語については、人との相互作用の中でしか発達しないのです。この相互作用をうながすのは赤ちゃんの方からだと言われています。

目の前に赤ちゃんがいたら、ついついあやしたくなります。普段は出さないような高い声を出して、「かわいいですねー!」なんて語りかけませんか。この赤ちゃんへの語りかけにもいろいろな特徴や意味があるのだそうです。

大人が赤ちゃんに語りかける声には、高い声、豊かなイントネーション、明瞭な母音、ゆっくり、発話が短い、発話間のポーズが長い、などの特徴があるそうです。赤ちゃんに語りかけるときに声が高くなるのは、どの言語においても共通しているだけでなく、男女にかかわらず声が高くなります。そして、豊かなイントネーションになることは、容易に想像できます。成人に対するときよりも明らかに抑揚をつけて話します。

そして、母音をはっきりと話し分けるそうです。これもどの言語にも共通しています。母音を発音するときの、口の開き、舌の位置の相違によって生じる音色の相違を三角形に配置して示した母音三角形と呼ばれる図式があるのですが、/a/i/u/ の各母音の差が大きいほど、三角形の面積が大きくなる。つまり母音を明瞭に話し分けていることになります。母音をはっきりと話す事で、赤ちゃんが聞き取りやすくなるのです。

赤ちゃんに対する話し方に似た話し方をする対象として、かわいがっているペットに話しかけるときがあります。確かにペットに話しかけているのを思い出してみると、赤ちゃんに話しかけるときに似た話し方をすることがあります。しかし、ペットに話していることばと、赤ちゃんに話しかけていることばを比較すると、母音三角形の面積は異なるそうです。もちろん、赤ちゃんに話しているときは面積が大きくなる、母音を明瞭に話し分けるのに、ペットの場合は母音三角形の面積は小さいそうです。ペットには言語を聞き取る必要はありません。私たちは知らず知らずのうちに、赤ちゃんが聞き取りやすい話し方をしているのです。

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