園長ブログ

赤ちゃん学会 3

2013/06/04

日本赤ちゃん学会第13回学術集会ラウンドテーブル「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」では、乳幼児期から関わり合う力を引き出す要因の一つに、発達の異なる子ども集団がある。保育園で過ごす時間の長さが、関わり合う力を引き出す。という昨年の研究結果を踏まえ、保育現場で起こっている子ども同士の関わりをリズム遊びを焦点をおいてエピソードをまとめ、これらをもとに、子どもたちが社会性を獲得してゆくために必要な環境について考察するという趣旨で発表が行われました。

ここにもあるように、発表内容は、子どもたちがリズム遊びを通して関わって遊ぶ様子を保育の中で撮影された動画をふんだんに用いながらの発表でした。

熊本県の城山保育園さんは、「保育園でのリズム遊びは子どもにどのような発達を促すのか」というテーマで発表してくださいました。
1人の1歳児が、両手で机をたたいてリズムを取ると、何人かが集まって来て同じように机をたたいて音を出す。そのリズムはちょっと聞くとバラバラのようですが、どこか調和したリズムで、かといってぴったり合っているわけでもない。心地よいリズムでした。
また、1人がタンバリンを鳴らすと、何人かが真似て同じように鳴らし出す様子が映し出されていました。よくありそうな子どもたちの姿ですが、発表された保育士さんは、子どもたちが共感し合ったからこそ合奏した。子どもたちが共感することこそ合奏の基本だと感じた。共感できる相手がいるからこそ合わせたいという気持ちが起こる共感できる相手がいるからこそ合わせたいという気持ちが起こる。とコメントしていらっしゃったことが印象的でした。リズム遊びを通して子どもたちが共感している。まさにコミュニケーションの一形態だと感じました。

島根県のあさり保育園さんとさくら保育園さんはの発表は地域の伝統芸能である神楽を真似て遊ぶ「神楽遊び」で遊ぶ子どもたちの様子を紹介してくださいました。その中で保育月数が長い子と短い子で関わり方に差があるのかという疑問を保育士さんご自身が持ち、その視点で動画を撮影しながら、保育月数が長い子ほどリズムが重なりやすいことなどを発表してくださいました。リズムはことばがなくても気持ちを通じ合わせる手段であり、リズムを通して複数の子どもが複雑な人間関係を築いてゆくこと、子どもたちがリズムを共有することで、共感していることにリズムに焦点を当てて動画を記録することでよくわかった。子どもがより深く他の子どもと関わろうとしたとき、リズムはとても有効だと締めくくっていらっしゃいました。

普段何気なく見ていることでも、一つの視点で見ることで気づくことが多いでしょうし、それを動画で記録し、何度も見返すことで新たに発見することもあると思います。3歳未満の子どもたちがリズムを通して深く関わっている姿を再確認するとともに、子どもの姿から学ぶ新たな方法をも教えていただきました。

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