園長ブログ

ひとりひとりの力

2013/05/10

広島県立安芸南高校サッカー部を指導していらっしゃる畑喜美夫先生は、子どもたちが自ら考えて練習をする。子どもたちの主体的、自発的な取り組みに重点を置いた練習方法で、前任校のサッカー部をインターハイ初出場にして初優勝に導いたそうです。

こんな練習方法について子どもたちはどのように感じているのでしょうか。インタビューを受けた部員は「先生がすぐに答えを出さずに、考えさせてくれるから2倍以上に成長できる。」「自分の好きなようにやらせてもらって、楽しんでいます。」とコメントしていました。

これができるのは、先生と生徒相互の信頼関係が根底にあるからです。畑先生は60人以上の子どもたちと毎日交換日記を交わしていらっしゃるそうです。子どもたちひとり1人に心を運び、寄り添い、それぞれにとって必要な関わりをされているのだと思います。そこからこそ信頼関係が生まれてくるのでしょう。

信頼関係の上に成り立つ、子どもが主体となって自ら考え判断し行動するという練習は体罰とは正反対のところにあります。強くなるために体罰を行うという理論は成り立たないということです。むしろ、体罰によって、成長の可能性の芽を摘んでしまうように思います。

畑先生が子どもたちを個人名で呼ぶという所に、武田鉄矢さんが注目してコメントしていました。「団体競技では、よく、選手をポジション名で呼ぶことが行われるが、そうすると、人間が道具化、記号化してしまう。だが、畑先生は選手を個人名で呼んでいる。個人名で呼ばれることによって個人の自覚が生まれる。ここには個人が団体を作るという先生の意識がうかがえる。」

ひとり1人の力が発揮できるように考え、環境を整え、子どもたちの持っているものを引き出すことで、ひとり1人が輝く、そんな個人が集まる集団が目的を共有すれば、それほど強いものはないということなのでしょう。

これは、なにもサッカーに限ったことではないと思います。

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