園長ブログ

運動会 2

2011/09/12

自分の目標に向かって進む。そんな子どもたちの姿はとてもステキです。

当園の園庭には鉄棒、登り棒、滑り台があります。普段から登り棒や鉄棒を使っていろいろな遊びを展開していますが、ある時期ひとつの遊びが流行ることがあります。誰かが逆上がりに挑戦してできるようになったりすると、他の子もやってみたくなって、何人かが逆上がりをし始めたりします。そうしているうちに子どもどうしで教え合ったりしてできるようになる子がいます。

運動会で、逆上がりをする。という目標を立てたけれど、なかなかできない。友達はどんどんできるようになっていくなか、できない自分を見られるのは恥ずかしいし、どうしよう。それなら友達が帰った後に練習しよう。そう決めて頑張っていた子がいました。来る日も来る日も練習していたある日、わたしのところに「逆上がりできるようになったよ。」と教えに来て、やってみせてくれました。まだ少し危なげでしたが、回り終わって鉄棒の上からこちらを見るその子の満足げな顔は、なんともいえないステキな笑顔でした。一度できてからも、その子は自分の身体に覚え込ませるかのように何度も繰り返していました。友達にも「できるようになった」といってやってみせていましたし、他の子もまるで自分のことのように喜んでいました。

登り棒や鉄棒は園庭でいつも練習ができるのですが、跳び箱は用意したときにしかできないので、練習の機会が限られてしまします。そこを保育士が配慮して、子どもたちが自分の好きなものに自由に取り組めるよう、跳び箱も自由に練習できる時間をとっていたようです。跳び箱に挑戦している子もいれば、鉄棒に取り組んでいる子もいる。リレーのときにどうすれば早くバトンが渡せるか相談していたり、リレーごっこを楽しんでいる子もいる。そうかと思えば、ありの巣を見つけて中がどうなっているのかと調べている子がいるし、大きな石を並べて遊んでいる子もいる。そんな子どもが自ら選んで取り組める環境を設定していたのです。

その中でずっと跳び箱を跳んでいる子がいました。その子は「跳び箱5段跳べるようになる。」と決めて練習をしていたのです。何度も何度も挑戦をするのですが、最後のところが超えられません。でも、あきらめることなく何十回も挑戦し、ようやく少しおしりが引っかかりながらも跳び越すことができるようになり、その後3回くらいできれいに跳び越せるようになりました。その瞬間を見ていた何人かの子どもが「やったー!」と大喜び、その場にいた大人も全員同時に喜びの声を上げていました。本人の努力に任せようと、教えることはできるだけ控えていましたが、片時も目を離せなかったのです。跳び箱越しに振り向いた本人の笑顔も最高に輝いていました。

その子は、よほどうれしかったのでしょう。「忘れないようにもう少しやっとく?」との保育士の声がけに、そのあとも何十回、いや百回くらい跳び越していました。私は「少し休憩すれば」と言ったほどです。

それにしても、子どもの力はすごいものです。この姿からたくさんの勇気と元気をもらいました。この子どもの力を信じて見守ってゆきたいものです。

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