園長ブログ

ことば 〜聞く〜

2012/09/26

人がことばを獲得するためには生得的な言語獲得能力に加えて、養育環境が大きな意味を持つことが様々な研究から立証されてきていることを、小椋たみ子 帝塚山大学教授の講義で知りました。

では、話すために必要になってくる能力とはどんな能力でしょう。まずは、音を聞くこと、聞き分けることがあります。音声知覚の発達というそうです。連続して変化する音声を単語として切り分けて聞くことができなければ、ことばとして知覚することはできません。この単語の切り出しができるようになるのは生後7ヶ月から8ヶ月だそうです。

赤ちゃんが聞き分けているかどうかを知るための実験方法が面白いと思いました。赤ちゃんは、おしゃぶりをくわえるとおしゃぶりを吸います。このおしゃぶりにセンサーを取り付け、赤ちゃんの吸う回数と強さを計ります。赤ちゃんにある刺激を与えると(この場合は音ですが)おしゃぶりを吸う力が強くなったり回数が増えたりするようです。同じ音を聞き続けてゆくとだんだんその刺激に慣れてきて、おしゃぶりを吸う強さや回数が減ってきます。これを馴化といいます。そこで、違う音を聞かせると、またおしゃぶりを吸う強さや回数が増加します。これを脱馴化といいます。この方法を使うと赤ちゃんが音の違いを聞き分けているのかいないのかがわかります。

また、生後6ヶ月から8ヶ月くらいの赤ちゃんは、多くの音の弁別ができるそうです。母語がどんな母語であろうとも聞き分ける能力を備えているということです。ところが10ヶ月、11ヶ月ごろになってくると、母語に特徴的な音は聞き分けることができますが、母語以外の言語に特徴的な音は聞き分けることが難しくなってくるのです。

例えば、私たち日本人は英語のLとRの聞き分けが苦手です。アメリカ人の赤ちゃんと日本人の赤ちゃんを比べると、6ヶ月から8ヶ月くらいでは日米の赤ちゃんでは英語のLとRの聞き分けに差はないそうですが、10ヶ月、11ヶ月ごろになってくると、アメリカ人の赤ちゃんは70パーセントくらい聞き分けるそうですが、日本人は60パーセントと差が出てくるそうです。

つまり、赤ちゃんは1歳くらいまでにはちゃんと音の区別ができるようになっているのです。しかも母語に特徴的な音とそうでない音では聞き分けに差が出てくるということです。それは普段聞いている言語を使う準備をすると同時に、それ以外のものは切り捨てているということです。

ここでも、環境が子どもの言語発達に与える影響の大きさがわかります。

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