園長ブログ

集団

2012/09/19

子ども一人ひとりの発達をしっかりと見つめ、その子がその子らしく、今を最もよく生きることを大切にするというスタンスで、保育してゆきたいと思います。それは、年齢や性別、その他の様々な要素にとらわれることなく、まず、一人の人格としてその子を見るということです。4歳児だからとか、自閉症だからという区別からその子を見るのではなく、一人の人格として尊重したうえで、それぞれの特長について知れば良いのだと思います。どうして、外側からの区別にこだわるのでしょうか。外国では年齢や性別、しょうがいの有無で子どもを分けることは、差別だとして禁止しているところもあるそうです。

学年という区切りがしっかりとある小学校でさえも、平成23年4月から全面実施された新学習指導要領には「個に応じた指導の充実を図ること」(第1章総則第4 – 2 – 6)と記されています。その方法として、学校や児童の実態に応じ,
・個別指導やグループ別指導
・繰り返し指導
・学習内容の習熟の程度に応じた指導
・児童の興味・関心等に応じた課題学習
・補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導
・教師間の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善する
などがあげられているのです。
どちらかというと、乳幼児教育に比べて知識を一方的に伝えることが多い学校教育でさえも、個別指導や、習熟度別指導、子どもの興味・関心等に応じた課題学習など弾力的な子ども集団の編成、そして、ティームチーチングまでもが示されているのです。

乳幼児の発達は、子どもが環境に働きかけ、環境との相互作用を通して新たな能力を獲得してゆく過程であり、そこで大切なのは、子どもが自分から興味感心を持って自発的、主体的に関わろうとする意欲や態度なのですから、当然、小学校よりも「個に応じた」柔軟な子ども集団の編成(子どもが自ら集団を作るのですが)が必要なのではないでしょうか。

子どもから出発するのではなく、大人の都合や、昔からこうしているからというだけの理由で、固定的に子ども集団を編成することには問題があるのです。

もちろん、発達にとって必要な集団も編成しないというのではありません。子どもの発達にとってどんな集団が必要なのかをよくよく考える必要があるということです。

一人ひとり(個)が、いきいきすることで、みんな(集団)がいきいきする。そしてその集団が、さらに個を育てるという相互作用が生まれるような集団、個が集団を高め、集団が個を高める、発達のスパイラルが生まれる集団になるにはどうすれば良いかを考えることが必要なのです。

スクロール